フェッセンデンの宇宙
『フェッセンデンの宇宙』エドモンド・ハミルトン(奇想コレクション)

史上最高の科学者フェッセンデンが実験室の中に宇宙を創った!世界中の言葉に翻訳された、名作中の名作「フェッセンデンの宇宙」をはじめ、代表作「向こうはどんなところだい?」「翼を持つ男」、切ない怪奇小説「帰ってきた男」、ショート・ショート「追放者」、さらに本邦初紹介作として「風の子供」「凶運の彗星」「太陽の炎」「夢見る者の世界」の4篇を含む、全9篇を収録。(本書あらすじより)

またしても自慢ですが、ハヤカワSFシリーズ版『フェッセンデンの宇宙』を拾ったこともあるのです。欲しい人にあげちゃいましたが。今考えるとなんてもったいないことを……。

「フェッセンデンの宇宙」(1937)
「風の子供」(1936)
「向うはどんなところだい?」(1952)
「帰ってきた男」(1935)
「凶運の彗星」(1928)
「追放者」(1943)
「翼を持つ者」(1938)
「太陽の炎」(1962)
「夢見る者の世界」(1941)

発表年を書いていて気付きましたが、エドモンド・ハミルトン(1904~1977)って結構昔の作家だったんですね。古典ですよ古典。
自分が思うところのSFっぽい話(つまり宇宙とか科学者とか水星とか彗星とか)が多めで、大時代的な大らかさがなかなか良かったです。12月に読んだ奇想コレクションの中では一番ふわふわしておらず、地に足が着いた感じで、一番普通に面白かったんじゃないでしょうか。こういうものを読んでいると地球に住んでいるのが怖くなって来ますけど、これこそSFの発想力を読者に十二分に伝えられているということの表れでしょう。

「フェッセンデンの宇宙」は読み終わってジワジワ怖いし、「向こうはどんなところだい?」も宇宙飛行士の話ですが最後に話を一般化したことでやっぱり怖いのです(人間が)。間に入っていた「風の子供」はファンタジーで、なるほどこういうのも上手いのねという感じ。
「帰ってきた男」は、誤って生きたまま埋葬された男が墓から出て街に戻ると……という異色短編っぽい好短編で、一貫して明るめな皮肉さが良いですね。「凶運の彗星」は異星人侵略物としてアイデアは良いんですが、間延びしていて勿体無い一編。「追放者」はメタSFで、特にコメントなし。「翼を持つ男」は翼を持って生まれた男がどういう生活を送ることになるのかという作者のアイデアが楽しく、先日読んだテリー・ビッスン「ジョージ」と比べると、同じテーマへのアプローチがいかに異なるかが分かって興味深いですね。
「太陽の炎」は……かなり良いんですが、水星へ探索へ出かけたベテラン隊員が遭遇した辛さがそこまで伝わってこなかったかな。「夢見る者の世界」は現実と夢、どちらが現実なのか(日本語下手)というよくあるネタですが、片方の世界の話が面白すぎるし、オチもこれはこれで楽しい好編だと思います。

全体的にかなーり読みやすくて普通に分かりやすく面白いという感じだったので、自分みたいにSFに対する意識の低い人が入門書として読むのに最適かなと思いました。ハミルトンってずいぶん作風の広い作家だったんですねぇ。おすすめです。なお、文庫版には、改訂版「フェッセンデンの宇宙」(1950)他2編が新たにが収録されているようなので、そちらも読んでみないとですね……。

書 名:フェッセンデンの宇宙(1928~1962)
著 者:エドモンド・ハミルトン
出版社:河出書房新社
    奇想コレクション 4
出版年:2004.4.30 初版

評価★★★★☆
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