死体置場は花ざかり
『死体置場は花ざかり』カーター・ブラウン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

身元不明の金髪美人の死体が死体置場から盗まれたのは、生あったかい、うんざりするほど悩ましい夜だった。盗まれた死体がTVスタジオにあるという匿名の電話が警察にかかる。半信半疑、アル・ウィラー警部はTVスタジオへ出かけた。すると、ドラマ用の棺の中からは金髪とは似ても似つかぬ四十男の血まみれの死体が飛び出してきたのだ。事件はさらに発展し、今度は死体置場に安置されたその四十男の体から、心臓のみがえぐり取られて盗まれた。死体置場は大混乱!洒落た感覚にユーモアを混えて軽快に描くハードボイルドの超快作。(本書あらすじより)

基本的には謎解き要素ちょっぴりの軽いお色気ハードボイルドで、主人公のウィーラー警部がぶうたれながら捜査していくのみ。ただ、ウィーラー警部がラストでは一転予想外の非情さを見せつけ、強烈な読後感を与えます。このギャップが素晴らしいのですよ。大満足でした。

まず警部に匿名の電話、指示通り向かったモルグでは死体が1つ盗まれ、その後テレビ局でその死体+1つが見つかります。警部は事件関係者の叶姉妹みたいなセクシーおっぱい姉妹とイチャコラしつつこのドタバタ事件を捜査していく……というのが大雑把な筋書き。
軽口ばかり叩くウィーラー警部のひねくれた目線で物語が進行するため、読み心地は極めて軽いです。まぁ捜査って言ってもそこかしこで酒を飲んでいるだけだし。犯人は意外も何もそもそも容疑者が少ないし、行きあったりばったり以上のものではないので、取り立てて真相に注目するところはないかなと思います。

ウィーラー警部はお調子者でおっぱいおっぱい言いながらソーダ入りスコッチを飲んでばかりのキャラクターですが、やたらと女にモテるようで、おまけにこう見えて頭の回転は早いのです。脅しつけまがいの行為で証言を引き出したりとやることも強引。イマイチどういう人間か分かりにくいというのはあるかもしれません。
でもそういうキャラクターなだけに、ラストのこの結末には驚かされます。安易かもしれませんが、この後ウィーラー警部が街に戻ることを考えると、やっぱり一面ではかっこいいなと思っちゃうんですよね。ほとんどギャップ萌えに近いんですが。女って怖いねぇ(そこ?)。

『死体置場は花ざかり』は、『海外ミステリー事典』のカーター・ブラウンの項目で代表作にあげられていて、ラストが非情で云々と書かれていたのがずっと気になっていたのでした。6年越しでやっと読みましたが、いやぁ大いに楽しんでしまいました。訳者の田中さんも言っていますが、軽い文体って良いもんですねー。ブラウンはちょこちょこ読んでいかないといけない作家かなと思います。

書 名:死体置場は花ざかり(1959)
著 者:カーター・ブラウン
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 43-1
出版年:1977.6.30 1刷

評価★★★★★
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