イン・ザ・ブラッド
『イン・ザ・ブラッド』ジャック・カーリイ(文春文庫)

刑事カーソンが漂流するボートから救い出した赤ん坊は、謎の勢力に狙われていた。収容先の病院には怪しい男たちによる襲撃が相次いだ。一方で続発する怪事件―銛で腹を刺された男の死体、倒錯プレイの最中に変死した極右の説教師……。すべてをつなぐ衝撃の真相とは?緻密な伏線とあざやかなドンデン返しを仕掛けたシリーズ第五弾。(本書あらすじより)

世間では大変評判がよろしいのに、読んでみたらいまいちピンと来ない作家、っていますよね。自分の場合、ヘレン・マクロイなんかがそうなんですが、どうもジャック・カーリイもそうなのではないかと……いやまだ『百番目の男』とか読んでいないから何とも言えませんけど。

さて、『イン・ザ・ブラッド』なのですが、自分の中でまだ評価できていない難しい作品です。はっきり言うと面白くもつまらなくもなかったのです。こんなどっちらけの感想を持つことなんてめったにないんですが……。色々な人の感想を読んではみましたが、やっぱりよく分かりません。というわけでほとほとと困り果てているんですよ。

事件自体は楽しめました。赤ちゃん漂流事件や逆さ吊り説教師事件など、色々な要素が、一見バラバラ、だけど最後には(当然というか)一つにまとまっていく……というパターン。なんかこうモジュールっぽいものは基本的に好きで、それが結びついていくとなればそりゃあテンション上がりますよね。結びつき方も実に自然で上手いし。

ところがその捜査の過程がイマイチはまれないんです。淡々としているようで、突然赤ちゃん強奪事件みたいのが起きてバタバタして、また黙々と聞き込みして、というテンポにどうしても乗っかれませんでした。最初の方はのったりしてたから逆に乗りやすくて良かったんですが、まぁわりと終始こんな感じでしたね。
それからカーソンという主人公がまた好きでも嫌いでもないのです。一面では冷静で、一面ではかなり暴走的。それにはなんか色々理由はあったんですけど、だからと言って好感を持てるわけではないし。よく分からないんですよ、この人が。相方のハリーがブレないだけに、余計にそう感じてしまいます。

さらには色々な人が褒めているどんでん返し。あれがまずピンと来ないのです。感心しないとか驚けないとか以前に「ふーん」という感じで……。本格ミステリ的な面白さに相通じるものがあるらしいんですが、どういうことなのかサッパリ分かりません(とか言うと原理主義者っぽくて嫌だなぁ)。最近気付いたんですが、どうも自分にはあまり驚けないどんでん返しのパターンというのがある気がするんですよね……今後の課題です。

だから結局、どこかこれだ!という要素が自分には見つからなかったけど、かと言ってどこかけなすポイントがあるわけでもない、という感じなのです、たぶん。何を基軸に評価すれば良いのか分かりません。読みやすいだけに味のないうどん食ってるみたいというか(酷い例え)。『ブラッド・ブラザー』『イン・ザ・ブラッド』の2作を読んだ現時点では、カーリイに対して特に親しみを感じられないなぁというところなのでした。

書 名:イン・ザ・ブラッド(2009)
著 者:ジャック・カーリイ
出版社:文藝春秋
    文春文庫 カ-10-5
出版年:2013.10.10 1刷

評価★★★☆☆
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