『五番目のコード』D・M・ディヴァイン(現代教養文庫)

「八人がわたしの手にかかって死ぬだろう。」こう告白する殺人者。つぎつぎに起こる殺人。現場には葬儀社がだす棺の絵が描かれたカードが残され、棺には八つの取っ手(コード)の位置が書き込まれていた。カードの裏には番号が。才能を持ちながら過去にこだわりくすぶっていた地方紙の記者ジェレミーは、第一の事件から関わりを持ち、容疑者として疑われもしながら、殺人者を必死に割り出す。(本書あらすじより)

ディヴァインは本当に面白い。きちんとした語り口、展開の良さ、魅力的な謎、個性的な登場人物、意外な犯人などなど。本格ミステリの良さを満喫できます。最近創元推理文庫で訳が始まったようなので、未訳で作品がどんどん出てくることを願います。

この作品を、新潮社の『海外ミステリー辞典』ではディヴァインの一番の作品だと述べていますが、なるほど、確かにこれは傑作です。『五番目のコード』の良さは、何と言ってもストーリーですね。冒頭2ページの、殺人者の告白を読み、これは来たっ、と思いました。次々と人が殺されていき、高まるサスペンスも魅力的です。しかし、あまりどろどろした空気にもなっておらず、非常に読みやすい作品となっています。あらすじが、こういうモロに連続殺人っぽい話はあまり好きじゃないんですが、これは例外です。

また、一人一人登場人物が念入りに描き分けられているのはさすが、といったところでしょう。特に主人公でしょうか。人生の敗北者をかざした人物で、一歩書き間違えればただのウザいやつですが、不思議と読んでてイヤにならず、むしろ引き込まれていくというのは面白いですね。ひたすら挫折を繰り返しているジェレミーに、思わず共感してしまいました。

おしいのは、現在では入手がやや困難だということですね。社会思想社の教養文庫はすでに発刊されていないので、古本か、図書館か、といった本でしょう。ディヴァインの作品はおそらくどれも高い水準ですので、見つけ次第、読んでいくことをおすすめします。

書 名:五番目のコード
著 者:D・M・ディヴァイン
出版社:社会思想社
    現代教養文庫 3043
出版日:1994.9.30 1刷

評価★★★★★
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/93-3bbb2680