人形パズル
『人形パズル』パトリック・クェンティン(創元推理文庫)

時勢ゆえ戦争に駆り出され、海の男になったピーター・ダルース。久方ぶりの休暇を愛妻アイリスと水入らずで、と思いきや好事魔多し。宿の手配に右往左往、大事な軍服を盗まれ、あげく殺人の容疑者に仕立てられる始末。軍務復帰まで三十時間、警察に引っ張られるなんて冗談じゃない。私立探偵コンビの助力を得て逃避行と真相究明が始まり……。謎が謎を呼ぶ、パズルシリーズ第三作。(本書あらすじより)

新訳パズルシリーズもついに3つ目。そして次はいよいよ『女郎ぐも』が翻訳されるらしいですよ、これは期待。
さて『人形パズル』ですが、真っ当なフーダニットらしいパズルシリーズ1、2作目とは異なり、ドタバタサスペンス劇となっています。死体を見つけちゃって逃げたり、謎の暗号めいた言葉を解明しようとしたり、犯人に閉じ込められたり、とまぁそういう感じ。ぶっちゃけドタバタサスペンス以上の何物でもなく、これといって引っかかる要素がない気もするんですが、まぁ読んでいて楽しい作品ではあるのかな。

本格ミステリとしては、結末がかなり見え見えだということもあり、意外性はほとんど期待出来ません。「謎の言葉」の解明もこれといってなく、謎解き要素はかなりあっさり目。ただ、殺人の容疑を晴らそうと第二次世界大戦下の夜のサンフランシスコを駆け回るピーターの動きを追うのはなかなか面白いです。「追われる男」でありながらそこまで緊張感を出さずにわちゃわちゃしている感じを楽しめということでしょう。
なお、終盤のとある文書については流れ悪いだの長いだのと文句が結構出ているようですが、所詮30ページだし自分は普通にあのパートも楽しめました。むしろどんでん返し後の説明が長ったらしかったような。

とにかく270ページという短さで作者がやりたいことをやりきった作品ではあると思います。まぁしかし、パズルシリーズを全て完訳で読みたいという日本のクラシックファンの熱い思いに答えてくれたというだけで東京創元社様グッジョブという感じだし、もはや面白かろうが面白くなかろうがどうでもいいというか……。
というわけで、これでパズルシリーズは第6作まで全て翻訳されました。自分は1、2、3、6だけ読んでますが、好きな順だと『俳優パズル』『巡礼者パズル』『迷走パズル』『人形パズル』かな……『人形パズル』はどうしても他と比べて一段落ちるかなぁと。

書 名:人形パズル(1944)
著 者:パトリック・クェンティン
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mク-4-9
出版年:2013.3.22 初版

評価★★★☆☆
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