スワロウテイル人工少女販売処
『スワロウテイル人工少女販売処』籘真千歳(ハヤカワ文庫JA)

〈種のアポトーシス〉の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精(フィギュア)と生活している。その一体である揚羽は、死んだ人工妖精の心を読む力を使い、自警団(イエロー)の曽田陽介と共に連続殺人犯"傘持ち(アンブレラ)"を追っていた。被害者の全員が子宮を持つ男性という不可解な事件は、自治区の存亡を左右する謀略へと進展し、その渦中で揚羽は身に余る決断を迫られる――苛烈なるヒューマノイド共生SF。(本書あらすじより)

ミステリじゃなくてSFミステリですね、どっちかというと。素晴らしかったです。これは傑作かなー。
かなり面倒な設定(要は男の国と女の国に分かれていて、男女間の性交は禁止されており、それを防ぐためにそれぞれ全く人間と区別のつかない女型人口妖精と男型人口妖精も暮らしている)で起こる連続殺人事件、都市に隠された過去と陰謀……いやぁ、めちゃくちゃ面白いんですよ、これ。隅から隅まで構成されたプロットも良いし、きれいに円環上に戻ってくるとこもさすがだし、設定を生かしたどんでん返しも上手く決まっているし、バトルシーンも激アツだし、ラストとか超泣かせるしで、文句なし。どことなく『鋼鉄都市』っぽい(作者も意識しているみたいですね)し、あと『都市と都市』っぽくもありますね。

とにかく設定の使い方の上手さが際立っています。登場人物の過去と都市の過去が綺麗に結びついています。設定の裏をかいたような真相なども、まさにSFミステリという感じですよね。登場人物が縦横無尽に街中を駆け巡りながら、1つ1つと事実が明らかになっていく様もきちんと計算されています。
加えて魅力的なキャラクターたち。おのおの良く動くんですよ。作者さんが一人一人に愛着があるんでしょうね。主役の揚羽ちゃんとか、まー作者さんずいぶん入れこんだなという感じです(笑) ちょっと苦めの恋愛小説要素もストーリーにうまく絡み合い、ラストに向けて絶妙な余韻を残します。自分、こういう恋愛物に弱いんですよね……。

というわけで、これは大当たりでした。新歓読書会のために読んだのですが、こうなると続編も読みたくなってきますねぇ。ぜひ手に取りたいと思います。

書 名:スワロウテイル人口処女販売処(2010)
著 者:籘真千歳
出版社:早川書房
    ハヤカワ文庫JA 1001
出版年:2010.6.25 1刷

評価★★★★★
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