小鬼の市
『小鬼の市』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

カリブ海の島国サンタ・テレサに流れついた不敵な男性フィリップ・スタークは、アメリカの通信社の支局長ハロランの死に乗じて、まんまとその後釜にすわった。着任早々、本社の命を受けてハロランの死をめぐる不審な状況を調べ始めたスタークは、死者が残した手がかりを追いかけるうち、さらなる死体と遭遇することになる──『ひとりで歩く女』のウリサール署長とウィリング博士、マクロイが創造した二大探偵が共演する異色の快作。(本書あらすじより)

実を言うと、ヘレン・マクロイはどうも性に合わない、苦手な作家なのです。
……あ、いえ、その、すみません、まだ『幽霊の2/3』『家蝿とカナリア』『暗い鏡の中に』しか読んでないです偉そうなこと言えないですホントすみません。
いやでもとにかく、面白いことは面白いんだけど、なんか合わねぇんだよなぁ、という作家なのですよ、はい。『家蝿』は結構良かったんだけど、代表作と言われるその他2つがちょっと微妙だったので、そりゃあくじけもするというもんです。というわけで『小鬼の市』も、かなり警戒しつつ読み始めたわけですよ(というわけで以下の感想はどうしても批判気味になっちゃうのでそのへん差し引いてくださいな)。
……しかし、むぅ、面白いじゃないですか。やや物足りない気もしますが、「第二次大戦下」の「中米」という舞台が遺憾なく発揮された事件、シリーズ読者ならニヤリとする仕掛けなど、決して悪くない作品です。

ただ、サスペンス要素と本格要素が必ずしも理想的に結合しているとは言えないかも。中途半端感が無きにしもあらず。
どうしても気になったのが、読んでいる間のモヤッと感と、読了後のモヤッと感。読み中はおそらく、主人公の性格付けが案外あいまいで、読者が(決して嫌いではないのに)100%感情移入しにくいからではないかと思います。読了後のモヤっと感は、謎解きシーンがわちゃわちゃしているせいかな。
もう1つケチをつけるなら、「小鬼の市(ゴブリン・マーケット)」という謎の使い方が上手くないかな、ということ。複雑な事件なのですが、それを捜査していく過程・読者に見せていく過程が、説明過多だったり不足だったりと、慣れない題材であるせいかこなれていないように思えるのです。

ただねぇ、困っちゃうのが、今あげた問題点はいずれも大したことではない、ということなんですよ。ぶっちゃけ結構楽しめちゃったのです。十分面白いんです。それでも100%の満足感を自分は得られなかったのですが、このあと一歩感は何なんでしょうね……単なるサスペンス・本格の中途半端さではないと思うんですが。

というわけで、現時点の自分にはこの作品についてどうしても満足のいくような感想を書けません。再読が必要かなぁ(したくない)。マクロイはやっぱり自分には手ごわい作家です。

書 名:小鬼の市(1943)
著 者:ヘレン・マクロイ
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mマ-12-6
出版年:2013.1.31 1刷

評価★★★☆☆
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