ケンブリッジ・シックス
『ケンブリッジ・シックス』チャールズ・カミング(ハヤカワ文庫NV)

キム・フィルビーら5人のケンブリッジ大学卒業生がソ連のスパイだったことが発覚し、英国は大打撃を受けた。だが彼らのほかに、もうひとり同時期に暗躍していたスパイがいたという。歴史学者のギャディスは親友の女性ジャーナリストからこの人物に関する本の共同執筆を提案されるが、その女性が急死し、彼は後を継いで調査を開始する。が、やがて国際情勢を左右する事実が明らかに!巧妙に構築されたスパイ小説の力作。(本書あらすじより)

どう考えても『エニグマ奇襲指令』と続けてよむべきハヤカワ文庫NVではありませんでした……いやだってつまり名作のあとに読むのはねぇ、ちょっとねぇ。

隠された過去を暴こうとする歴史学者が、国際的な陰謀に巻き込まれ、各所から命を狙われたりなんだりする話。一気読みという感じではないけど、飽きずにしっかり読ませます……ただ、正直、これで終わっちゃうの?という物足りなさを感じてしまうのです。
ストーリーは終始面白いんです。カネのため、やがて仇討ちのために真実を追い求める主人公ギャディスは、そんなに魅力はないけどちゃんと説得力のあるキャラクター。陰謀もほどほどに複雑で、意外な事実を小出しで提示していき読者の注意を引き続けるのも上手いと思います。

そう、あんまり良くないのは、終始「意外な事実」を出してくるくせに、陰謀の全貌がそんなに意外じゃないことかなぁ。ふーん、というか、むしろ唐突に終わってしまったというか。そこがもったいないのです。最後もうちょっと盛り上げて欲しいのです。ラスト前はかなり盛り上がっていて楽しかったんですけどね。だんだんSISが前面に出てきてバトル展開になっていったり、かなり命の危険を感じるような状況になったり、ギャディスが必死になっていつの間にか自然にスパイっぽく行動していたりと、かなり良いと思うんですけど。でもやっぱり物足りないよね。

ところが最終章、これは素晴らしかったんですよ。読み終えてこのニヤリとしてしまう感じ、やるじゃねぇかカミングさん、という感じ。ここはしっかり褒めたい……何だこの中途半端な感想は。

というわけで、やはりあと一歩なのでしょう。チャールズ・カミングの作品は今年もう一作出版される予定(だった気がする)らしいので、そちらをとりあえず楽しみにしておきましょうか。

書 名:ケンブリッジ・シックス(2011)
著 者:チャールズ・カミング
出版社:早川書房
    ハヤカワ文庫NV 1275
出版年:2013.1.15 1刷

評価★★★☆☆
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