六人目の少女
『六人目の少女』ドナート・カッリージ(ハヤカワポケミス)

森のなかで見つかった六本の左腕。それは、世間を騒がせる連続少女誘拐事件の被害者たちのものだと判明する。しかし、誘拐された少女は五人だった。六人目の被害者は誰なのか。失踪人捜索のエキスパートであるミーラ・ヴァスケス捜査官は、高名な犯罪学者ゴラン・ガヴィラとともに特別捜査班に加わることになる。だが、警察の懸命の捜査を嘲笑うかのように、犯人は少女の遺体を次々と発見させて……。フランス国鉄ミステリ大賞、バンカレッラ賞など数々のミステリ賞を受賞した息もつかせぬ傑作サイコサスペンス。(本書あらすじより)

読み終わってからずっと、妙に偏愛している作品です。面白いよ、これは。
いかにもデビュー長編らしく、色々な要素を詰め込みまくって読者を飽きさせまいと次から次へと物語を動かしどんでん返しを何度も用意している作品。ザ・エンタメ。それが実に良いのです。これだけ面白く読ませる作品に文句なんてありません。

基本的には超天才犯罪者vs犯罪学者率いる特別捜査班、というお話。捜査班のメンバーを少ない人数に抑え、それぞれにしっかりエピソードを持たせることで物語に上手く絡めている点には感心。特に、子供の失踪専門であり飛び入り参加となっているミーラ捜査官と、チーフでありながら警察組織にはあくまで属していない犯罪学者ゴランという「外」に位置するキャラクターの使い方が優れています。
また、既に死亡が分かっている誘拐された5人の少女の死体を順に発見させる、というゲーム性の高い展開により、緊張感を保ちつつ一気読みさせることに成功していますね。これだけ長いのにダレません。先を期待させつつじっくりと話を進めているため、大量のネタが上手く長編の中に溶け込んでいるのです。

そんでもって、このネタの数が尋常じゃないんですよねー。終盤なんかこれでもかとばかりに衝撃の事実が次々と明らかになっていくわけで、ここら辺は好みが分かれるかも(ちょっと詰め込みすぎではありますしね)。それともう1点、どんでん返しというのとは違うけど、なかなか面白い展開があるのですが……いやぁ、自分はこういうの大好きですよ。怒る人は怒りそうだけど。こういうのがヨーロッパミステリの懐の広さなのかなぁと思ったり思わなかったり。昨年のポケミスのあれといい、最近のヨーロッパではこういうのが流行っているんでしょうか。

という感じで、やりすぎ感も大いにあるのですが、なかなか楽しめる一冊でした。このミスの投票の6位に入れたくなるような作品、というか(違うか)。程よく面白いサイコサスペンスを読みたい方にオススメです。
ちなみに本書はイタリアミステリですが、ポケミスに収録されているイタリアミステリは、これと、ルドヴィコ・デンティーチェ『夜の刑事』(ポケミス1110)しかないそうです。やはり紹介数が少ないですね……第二外国語イタリア語選択者としては残念。
ちなみにちなみに、カッリージさんと自分は同じ誕生日なのでした(どうでもいい)。

書 名:六人目の少女(2009)
著 者:ドナート・カッリージ
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1867
出版年:2013.1.15 1刷

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/909-3356668f