鋼鉄都市
『鋼鉄都市』アイザック・アシモフ(ハヤカワ文庫SF)

突然、警視総監に呼びだされたニューヨーク・シティの刑事ベイリは、宇宙人惨殺という前代未聞の事件の担当にされた。しかも、指定されたパートナーは、ロボットのR・ダニールだった。ベイリはさっそく真相究明にのりだすが、巨大な鋼鉄都市と化したニューヨークには、かつての地球移民の子孫であり現在の支配者である宇宙人たちへの反感、人間から職を奪ったロボットへの憎悪が渦まいていたのだ……傑作SFミステリ!(本書あらすじより)

2013年は、月に一冊SFを読もう!……と決意したはいいけど、いまだに『鋼鉄都市』しか読めていません。先行きは暗いです。
さて、超有名作『鋼鉄都市』ですが、まさにSFミステリというやつですね。異質な世界(未来の地球)が舞台でありながら、すんなりと話に入っていきやすく、また読みやすく、スピーディーな展開を楽しめる良作。SF面とミステリ面のバランスが絶妙です。なるほど、これは確かにミステリ読者に対するSF入門書だわ。
現代世界と違う舞台設定でありながら、話題・テーマとして常に現代世界がちらつくのが面白いですね。聖書やフランケンシュタインの話なんかも出て来て、妙な近さを感じます。こうした点が「懐古主義者」という形でSF面にもミステリ面にもしっかり結び付いているのが上手いです。

ミステリ面での意外性は、まぁこんなもんかなという感じですが、とある人物の発言の矛盾の指摘には非常に感心しました。謎解きが、この世界の今後にうま〜く繋がっており、実に無駄なく作られた作品だよなぁとつくづく思います。アシモフさん、ミステリとしてもSFとしても、めちゃくちゃ考えて書いたんでしょうねぇ。さすが。
ちなみにダミー推理がいくつかありますが、これがSF設定の説明と上手いこと絡み合わせてあるため、その興味が合わさりスラスラ読みやすく、分かりやすく進むんだろうなぁと思います。アシモフさんプロット作りがべらぼうに綺麗ですね。一切無駄がない(さっきも言った)。

そんでもってロボットと人間の関係がね、描かれるわけですが……いやぁ、いいよ、こういうの好きだよ、最後の奴の発言とかめっちゃカッコイイんだけど、ちょぉっと急展開過ぎやしませんかね。
まず○○○かな、あぁれは使っちゃいけないでしょう。読者は客観的な目線を持てるだけに宇宙人案に割合好意的だと思うんだけど、で、ベイリが変わっていく様を見てニヤニヤしてたのに、実は○○○使ってましたー、じゃガッカリ。あんなもの使わなくても、自然と同じ展開に出来たと思うんですけどねぇ。
そしてダニールだけど、こっちもよく分かんないんですよ。要するに、いつデレる要素があったのかな、と(ひどい言い方だ)。あとタイムリミットも、面白かったけど、何か最終的に意味があったんでしょうか。ラストがちょっと急かな、とは思います。

というわけで『鋼鉄都市』、面白かったのですけど、やや物足りなかったかなぁ。もう一押し何かが欲しかったかな、という感じです。何かって何かは分かりませんが。
しかしこうなると続編『はだかの太陽』もぜひとも読んでみたいのですが、あいにく絶版。くそぅ早川書房め……。

書 名:鋼鉄都市(1953)
著 者:アイザック・アシモフ
出版社:早川書房
    ハヤカワ文庫SF 336
出版社:1979.3.31 1刷
    2011.3.15 24刷

評価★★★☆☆
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