『モンキー・パズル』ポーラ・ゴズリング(ハヤカワ文庫)

第一の被害者は、胸をめった突きにされ、舌を抜かれた英文学の教授。二人目は耳を切り取られた学部長。厳冬の大学町を襲った異常な事件を、新聞は“見ざる聞かざる言わざる”の諺に見立てて「猿の殺人鬼」と書き立てた。狂気の業としか思えない凶行の目的は何か。ストライカー警部補の必死の捜査が探りだした犯人は。サスペンスの女王が意欲も新たに本格推理に挑んだ傑作。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作。 (本書あらすじより)

ゴズリング初読です。初読ですが、おそらくかなりいい作家となる予感がします。もともとサスペンス作品でデビューした人なので、そういう面はお手のもの、というか。後半の盛り上がりは見事でしたね。こういっちゃなんですが、いかにもCWA賞を取りそうな作品です。まぁ、イギリスびいきの僕としては、その方が断然いいんですが(笑)

作品全体をみると、フーダニットとしての出来が非常にいいことに気付きます。別に、僕は犯人当てるのがうまいわけじゃありませんが、これは盲点でしたね。まあ、その伏線がきちんとあったかというと、そういうわけでもないんですが……。ですから、きちんとした「本格」という位置づけで見るより、本格に近い警察小説として見るべきなのかもしれません。

残念なのは、容疑者が多すぎること。大学教授が10人くらい出てくるのはいいとして、それをきちんと書ききれてないという印象を持ちました。どの人物もしっかり書いてはいるし、個性的な雰囲気もあるのに、後半は数人空気と化してたってのはおどうなんでしょうね。サスペンスに追われて容疑者を書いてる場合じゃなくなっているというか。おかげで、誰が犯人でもいいような気にもなってしまいます。もう少し人数減らしてもよかったかもしれませんね。せめて、三人称視点をもっと様々なところに持って行ってもよかったんじゃないでしょうか。

しかし、面白いミステリであることは間違いないでしょう。ヒルの作品なんかが好きな人にはいいかもしれませんね。

ところで、あらすじ読んだ人の中には、「え?三猿って日本特有の言い方じゃないの?」と思うかもしれません。僕もそう思って、調べてみたところ、どうやら「見ざる聞かざる言わざる」の文句は世界中にあるらしく、しかもサルに関係させている国が多いようです。日本は、たまたま「見ざる」がシャレになったんだそうですよ。

書 名:モンキー・パズル
著 者:ポーラ・ゴズリング
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 151-7
出発日:1995.12.15 初版

評価★★★★☆
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