葡萄色の死
『葡萄色の死』マーティン・ウォーカー(創元推理文庫)

夏の終わりの夜明け前、サンドニの遺伝子組み換え作物の試験場が放火された。村でただひとりの警官にして警察署長のブルーノは、国家警察の刑事に協力し住人への聞き込みを行う。そんな折、村の青年がワイン農場の大きなワイン桶の中で死んでいるのが発見された。事故か?殺人か?放火との繋がりは?心やさしき警察署長は、村の平穏を取り戻すため不可解な事件に挑む。(本書あらすじより)

シリーズ第一作『緋色の十字章』はもう大好きでして。当然のことながら第二作も期待して手に取ってみたのです。が。
この警察署長ブルーノシリーズは、フランスの片田舎を舞台としています。小さな村ながら、そこはフランスの縮図となっていて、色々な事件が起きたりしてしまうわけですよ(たぶん)。ブルーノは、最終的に法よりも村を守ることを選んでしまうような人物。彼の選択がまた一つの見所でもあります。そして読者は、おいしいフランス料理の描写によだれを垂らしつつ、彼の事件の処理の仕方を見守っていくわけです……基本はコージーっぽい空気ですけどね。

さて第二作。あくまで個人的な意見ですが……前作よりは落ちるかな。全体的にまとまりがなく、これといって話に起伏もないまま、終わってしまったように思います。葡萄を踏むシーンがハイライト。扱っている内容は面白いのに……もったいない。
前作の登場人物がこれといって説明もなく何度も登場するなど、作者はかなりサンドニという村を作り込んでいます。ただ、その”村を描きたい”というのと”事件を描きたい”が上手くまとまっていない印象を受けます。フランス田舎風俗小説としては面白いのに、ミステリ部分との融合が雑。この点が、前作『緋色の十字章』では非常に上手くいっていたので、惜しいと感じるのかも。

主要登場人物がまぁまぁの人数いるのですが、彼らの扱いがとっ散らかっているのも残念。メインっぽい人がそのあとずーっとほったらかされたりするのはさすがにねぇ。せっかく魅力的な人間をかける作家さんなのに、こんな出したら出しっぱなしみたいな感じではもったいないですよ。
事件の起こるタイミングや、それが解かれるタイミングも何だかずれている気がします。プロット作りがあまりしっかりしていなくて、とりあえず繋ぎに飯食っときゃいいだろ、みたいになっちゃっているような。村→事件→飯→村→飯→事件、の繰り返し。380ページ、もう少し短くまとめたら上手くいったのかもしれません。

まぁ何より、「村の平穏を取り戻そうとする警察署長ブルーノ」という面白さや、真相が、前作のインパクトには遠く及ばなかったことがやっぱり大きいです。面白く読めましたが、やや消化不良。ということで皆さん、『緋色の十字章』を読みましょう(結論)。気に入った方が『葡萄色の死』を読んでいただく、ということで。

書 名:葡萄色の死(2009)
著 者:マーティン・ウォーカー
出版社:東京創元社
    草原推理文庫 Mウ-23-2
出版年:2012.11.30 初版

評価★★★☆☆
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