弁護士探偵物語 天使の分け前
『弁護士探偵物語 天使の分け前』法坂一広(宝島社)

「殺した記憶はない」母子殺害事件の容疑者・内尾は言った。裁判のあり方をめぐって司法と検察に真っ向から異を唱えたことで、弁護士の「私」は懲戒処分を受ける。復帰して間もなく、事件で妻子を奪われた寅田が私の前に現れた。私は再び、違和感を抱えていた事件に挑むことに。その矢先、心神喪失として強制入院させられていた内尾が失踪。さらに周囲で不可解な殺人が起こり……。『このミステリーがすごい!』大賞第10回大賞受賞作。(本書あらすじより)

サークルの企画「マッドハッター賞」用レビューコピペ第五弾です。ようやく終わりました。今回は『このミステリーがすごい!』大賞受賞作です。
選評を読めば分かるんですが、随分とまぁ非積極的な受賞となったようですね。ほとんど消去法です。案の定評判もあまり良くないようです。個人的にはそこまで言うほど悪くはないと思うんですが、まぁでも次作を読みたいかと言われるとノーかな……。

では、600字レビューです。本書の文体を真似たので、妙に改行が多いです(笑)




魅力に乏しいハードボイルド

 そこまで悪くはない。
 ハードボイルドをパロったシニカル(過ぎる)文章は、何だかんだで読みやすい。だんだん鼻については来るものの、徹底して主人公に軽口を連発させているような作品は、個人的には結構好みである。
 また、序盤に語られる三年前の事件は、法曹界の様子が十二分に語られていて面白い。ハードボイルドぶる主人公の行動も上手く物語に噛み合っている。
 が、しかし、やはり、どう考えても、後半の失速感は否めない。
 単調で捻りのない展開。巨悪っぽさがいまいち感じられない、やることなすこと雑な敵。行きあったりばったりの主人公。「天使の分け前」というタイトルの生かされなさ。
 これは辛い。短所が目立ちすぎている。
 決して短い作品ではない。単行本にして三六九ページ。最後まで読者を引きつけて離さない、と言えるほどの魅力が、決定的に欠けてしまっている。
 要するに、突出して良いところも真新しさもない、凡庸で無難なエンタメ、ということだろう。
 選考委員四名の選評も、消去法というか、消極的推薦、という印象を受ける。なかなか厳しいデビュー作となったようだ。
 なお、既にシリーズ第二作が刊行されている。地力は感じられるだけに、伸びしろだらけの作者と主人公がどう成長したのか、なかなか興味のあるところだ。




書 名:弁護士探偵物語 天使の分け前(2012)
著 者:法坂一広
出版社:宝島社
出版年:2012.1.24 1刷

評価★★★☆☆
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