烏に単は似合わない
『烏に単は似合わない』阿部智里(文藝春秋)

八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が!失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙……。后選びの妨害者は誰なのか?そして若宮に選ばれるのは誰なのか?第19回松本清張賞最年少受賞。(本書あらすじより)

サークルの企画「マッドハッター賞」用レビューコピペ第三弾ですね。今回は松本清張賞です。
ちなみにマッドハッター賞については、サークルのブログ記事(こちら)にてごちゃごちゃ書いています。レビューはネット公開するつもりだったんですが、なんかうやむやで流れそうですね……。

さて、『烏に単は似合わない』、これはもう、文句なしの傑作でした。素晴らしかったです。去年読んだ本の中でも相当上位に来るんじゃないですかね、個人的に。ぜひとも手に取ってもらいたい、一押しの作品です。ってかここまでベタ褒めするのは久しぶりのような。

以下、600字レビューのコピペです。




圧倒的筆力で魅せる弩級ミステリ

 読め、としか言えない。これは傑作だ。完璧だ。なぁにが時代ファンタジーだ。いや時代ファンタジーだが、これは真っ当なミステリ、立派なSFミステリなので、ミステリ読者は躊躇せず手に取っていいし、後悔することはない。イマイチ話題になっていないのがとことんもったいないので、声を大にしてこれをお薦めしたい。
 平安時代らしき雰囲気漂う架空の国を舞台に、皇太子の后の座を狙って四家が激しく火花を散らして争う物語。この丁寧に作りこまれた世界観には非常に好感が持てる。「八咫烏」の支配する世界、烏に変身する人々など、かなりぶっ飛んだ設定ではあるが、そこに違和感を覚えさせないほど魅力的な文章が読者を惹きつけ、自然にこの世界に浸らせていく。新人とは思えない筆致と構成だ。
 四家の争いは各家が送り出した姫様を代表として行われるのだが、この姫様たちがまた良い。一人一人、これでもかとばかりにはっきりとした性格付けがなされており、それぞれがそれぞれを引き立たせている。しかも、姫様同士の個人的なバトルに終始せず、あくまで家同士の戦いをメインに据えているので、「醜い女の争い」みたいなつまらないテーマに陥ることを免れている。
 四家の陰謀やら姫様の秘めた思惑やらが複雑に絡んだプロットは一級品。終盤の二転三転するどんでん返しや意外な犯人には文句のつけようもない。ファンタジックな世界の中で繰り広げられる、残酷だが美しいおとぎ話。この独特の美味に、ぜひ酔いしれていただきたい。




書 名:烏に単は似合わない(2012)
著 者:阿部智里
出版社:文藝春秋
出版年:2012.6.25 1刷

評価★★★★★
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