A型の女
『A型の女』マイクル・Z・リューイン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

お願い、わたしの生物学上の父を探して――。閑散としたオフィスに突然飛び込んできた少女にサムスンは面食らった。大富豪クリスタル家の一人娘が、血液型から自分は実の子ではないことが判明したと涙ながらに訴えるのだ。さっそくクリスタル家の系譜を探り始めたサムスンは、こころならずも名家の巨富をめぐる醜悪な争いに巻き込まれてゆく。暴力を憎む心優しき知性派探偵アルバート・サムスン、文庫初登場。改訳決定版。(本書あらすじより)

うぅむ……リューインはいいなぁ……全作品読んでみたいものだなぁ……。あ、この本は、毎月恒例ハードボイルド読書会の課題本として読んだものです。
デビュー作からして既に完成されている感があります。非常にまとまりのいいプロット、軽妙でユーモラスな語り口、ラストの狙いまくった(くそぉ)感動シーン、普通人としてのサムスンのキャラクター、その他個性的な登場人物たち。いやぁいいね。いいねいいね。本当にいいです。

ただし、シリーズ最高傑作と名高い『沈黙のセールスマン』を読んだ後だから思ったのかもしれませんが、やはり事件が地味過ぎて、序盤読者を引っ張り切れていない、というのは否めません。真相も、さすがに現代のミステリ読みであれば気付けるでしょうし(最後の最後のどんでん返しは別ですが)。この辺がちょっともったいないかな。ま、中盤以降はぐいぐい読ませるので、とりたてて不満というほどではないですが。

『沈黙のセールスマン』の感想でも書きましたが、こういうユーモアミステリではないユーモア、しゃれた会話というか、くすっと笑える要素って、海外は本当に上手いですよね(例のおじいさんとか最高じゃないですか)。物語の味付けとして抜群の効果をあげています。今年読んだ新刊はシリアスが多めだったのでなんかホッとしました。
あくまで個人的な好みなので誰と争うつもりもありませんが、つまるところ自分の中では「ユーモアのあるミステリ」>>>「ユーモアのないミステリ」なんです。もちろんユーモアがないものでも大好きなミステリはありますが、大まかに言うとこうなります。うん、だからこんないリューインを気に入ってしまったんでしょうね。最近の作品の方がユーモア成分はアップしているらしいですが。

というわけで、飛び抜けたところがないせいかやや物足りなさは感じますが、全体的にすこぶる満足できる作品でした。次はパウダー警部補ものを読んでみます。

書 名:A型の女(1971)
著 者:マイクル・Z・リューイン
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 165-1
出版年:1991.7.31 1刷
    1997.6.15 7刷

評価★★★★☆
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