シニョール・ジョヴァンニ
『シニョール・ジョヴァンニ』ドミニク・フェルナンデス(創元推理文庫)

ヨーハン・ヨアヒム・ヴィンケルマン。ドイツの美学者、美術史家。一七六八年六月八日、トリエステで強盗の手で殺害される。百科事典に記され、二百余年にわたり誰も疑うことのなかった事件に秘密の匂いを嗅ぎつけたゴンクール賞作家フェルナンデスによる歴史ミステリ。美を愛する高名な学舎はなぜ醜い男に命を断たれたのか?(本書あらすじより)

連続更新7冊目。さすがに毎日更新は大変ですね……ここらでいったんお休みしようかしら。

さて、出ましたね、『シニョール・ジョヴァンニ』。文学畑で有名な(らしい)フランス人作家ドミニク・フェルナンデスが、自分の趣味、すなわち同性愛とイタリアをテーマに、実際に過去にあった事件を再構成するミステリです。まぁ、その事件そのものを知っている日本人が、特にミステリ好きの日本人がどれだけいるかという話ですが。何とかいう賞のためか何かで書き下ろした掌編で、100ページしかありません。手慰みに書いた感も強いですが、作者の追求するテーマがきちんと歴史ミステリの形になっているわけで、適当に作られたというわけではありません。

いや、そうなのですが、しかし……こっ、この小説はいったい何なんですかね……精神分析的手法とは一体何なのでしょうか……。
ざっくり言えば、繰り返しになりますが、フランスの大物小説家が自分の趣味丸出しで暇つぶしに書いた歴史ミステリ的な何か。ヴィンケルマンという、おそらく99%の日本人は知らないであろう18世紀ドイツの美術史家の死の真相に迫ったものです。フェルナンデスとヴィンケルマンについてはwikipedia参照のこと。

小説というよりは擬似エッセイ的なものです。はっきり言ってミステリ的にどうこうとかいうようなものではありません。当時の裁判記録を元にして、同性愛の大家フェルナンデスがヴィンケルマンの苦悩を小説っぽい体裁で描いてみる、というのがカンどころで、つまりそれ以上でもそれ以下でもないのです。
証言録から真相を浮かび上がらせる手法は上手いと思います。ただ、真相自体は見え見えで、現代精神分析の手法を使って解き明かしているとはいえ、同性愛好みのフェルナンデスが書いたという時点でネタを明かしたようなものでしょうね。むしろそんなものより、ラスト、ヴィンケルマンの目線で語られる彼の心情が非常に読ませます。これだけでいいんじゃという気さえしますが(笑)そこに至る過程は……なくても問題ないんじゃないかな……。

ぶっちゃけ、あんまり短かったせいで、これといった感想もへったくれもないんですよね。宮部みゆき推薦により復刊とかもされたらしいですが、まぁ、興味のある人だけ読めばいいのではないでしょうか。ミステリ好きの方々が強いて読む必要はないと思います。

書 名:シニョール・ジョヴァンニ(1981)
著 者:ドミニク・フェルナンデス
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 215-1(Mフ-18-1)

出版年:1984.7.20 初版

評価★★☆☆☆
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