鏡よ、鏡
『鏡よ、鏡』スタンリイ・エリン(ハヤカワ・ミステリ文庫)

誰が気楽にしていられるだろう。自宅の浴室に思いもかけぬ火薬の臭気が漂っているというのに。しかも床の上には拳銃で胸を撃たれた大柄で豊満な女が息絶えているという、そんなおぞましい光景を目前にして?拳銃はわたしのだ。が、女は知らない。半裸の女。あばずれが着けるような下着。わたしの部屋には鍵がかかり、掛け金もさしてあったのだ。こんな女がどうやって……息子のニックは知っているのか?意味不明の伝言は?錯綜する過去現在の間から姿を現わしてくる戦慄の真実!鬼才エリンがミステリの限界にいどむ衝撃の問題作!(本書あらすじより)

ワセミスのN君(無類のエリン好き)からお借りしたものです。いつもありがとうございます。ま、マケプレで3499円て……。

さて、N君のマイベスト(らしい)本書『鏡よ、鏡』ですが……えぇと、こりゃいったい何ですか。
読み終わって、うえええええぇぇぇぇぇ!!!!という気持ちと、ポカーン、という気持ちが頭の中で良い感じにごちゃまぜになる作品でした。これはキワモノ扱いされても仕方がないですね……極めて変わったミステリです。

やはり、結末がすごいです。ぶっちゃけた話、ラストについては「う、うん……」という具合で、嫌いじゃないけど好きでもないという微妙な感じ。いやまぁ、驚きはしましたが。この手のオチはよく聞きますが、ミステリで見るのは初めてで、ある種戸惑いの方が強いです。エリンは読者を狙い通りに突き放す(というか突き飛ばす)わけですけど、それによって自分としては、まぁ、うん、おぉ、わぁ、ぎゃあ、という感じですね。意味が分かりませんか、そうですか。

それよりも、憑かれたように書かれたラストまでの物語の方が断絶面白かったですし、当然こちらこそ読みどころでしょう。こやつは殺人犯です!と滔々と語る家族とか、半分キチガイにしか見えない精神科医とか、アホ話のオンパレードの回想シーンとか。こっちも憑かれたように読むわ読むわで、ちょっと異常なテンションに引き込まれます。なんかエリンの短編もこんな感じでしたね。

というわけで、見事に頭のネジが緩んだホラ話ですので、いっぺんは読むと良いんじゃないでしょうか。オチに関しては素養がある人・前例を知っている人はすぐ分かるらしいし、後書きにもチラッと書いてあるし、読書メーターでもバラされてますが、出来れば一切前情報なしで読んだ方が良いと思います。個人的には……嫌いではありませんが、積極的に好きとも言えない、微妙な位置づけの作品です。
ちなみに、本書はフランス推理小説大賞を受賞したらしいです。……何と言うか、ものすごく納得がいきます。

書 名:鏡よ、鏡(1972)
著 者:スタンリイ・エリン
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 36-3
出版年:1979.12.15 1刷

評価★★★☆☆
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