ウッドストック行最終バス
『ウッドストック行最終バス』コリン・デクスター(ハヤカワ・ミステリ文庫)

夕闇の迫るオックスフォード。なかなか来ないウッドストック行きのバスにしびれを切らして、二人の娘がヒッチハイクを始めた。その晩、娘の一人が死体となって発見された。もう一人の娘はどこに消えたのか、なぜ乗名り出ないのか?次々と生じる謎にとりくむテムズ・バレイ警察のモース任警部が導き出した解答とは……。魅力的な謎、天才肌の探偵、論理のアクロバットが華麗な謎解きの世界を構築する現代本格の最高傑作。(本書あらすじより)

というわけで、デクスター再読作戦を決行。月1ペースで読めたらいいなぁ。ちなみに本書の初読は高1の夏休み。図書委員が夏休みに読んだ本、として書く感想でこれを選んだんでした。当時からどんだけアレな子だったのか。

さて、モース警部初登場なわけですが、いやはや、デビュー作からしてすごいですね。本格ミステリとして一級品だと思います。

デクスター作品は、基本的に犯人が誰だかすぐに忘れてしまいます。プロットがあまりに二転三転してしまうため、誰が犯人だったかどうでもよくなってしまうというか。ただ、『ウッドストック』は例外的に犯人の印象が非常に強いため、その点ではインパクトのある作品です。まぁ、それ以外の要素は完全に忘れていたので、十分楽しむことが出来ましたが。
ただ、シリーズ第一作ということもあり、「二転三転するプロット」と形容するほど複雑ではない気がします。モースの妄想推理は割合大人しめ。この後の数作品の方が格段にややこしいです。そういう意味では、まだシリーズの特徴がしっかり出ていない、と言えるのかもしれません(他にも、ディクスン刑事がまだドーナツを食べてない、とか)。

とはいえ、本格ミステリとして文句のつけようのない出来栄え。いくつも偽の手掛かりやら関係ない事項やらがばらまかれているため、読者は見事に煙に巻かれてしまいます。緻密な伏線と綿密なロジックにより犯人が特定できる――というタイプの作品ではないんですが、それでもいくつか明示的な手掛かりがしっかり用意されています。登場人物の証言に含まれた嘘による騙しのテクニックはトップクラスです。

ま、それもありますが、自分がこのシリーズを好きな一番の理由は、モースのキャラクター、および作品全体に漂うほのかで上品なユーモアです。クスッと笑えるポイントが実に面白いんです。デクスターは( )やダッシュを多用していますが(作中で自虐的な批判があったような)、この使い方がもうまさに自分のツボに入っているというか。やっぱりデクスターは好きだなぁ。そしてイギリスに行きたい……。

というわけで、今月から順に読んでいく予定です。次作は『キドリントンから来た娘』。初読時はイマイチでしたが、今読むとどうなのか……。

ところで、ルイスって、モースの数歳上だったんですね……今回読んでいて一番驚いたのがそこでした、はい。

書 名:ウッドストック行最終バス(1975)
著 者:コリン・デクスター
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 148-1
出版年:1988.11.15 1刷
    2002.4.15 14刷

評価★★★★☆
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