自殺の殺人
『自殺の殺人』エリザベス・フェラーズ(創元推理文庫)

嵐の夜、ジョアンナの父が身投げを図った。偶然通りかかった青年たちに取り押さえられ、その場は事なきを得たものの、彼は一切動機を語らぬまま、翌朝、秘蔵の拳銃によってこの世を去った。突然の父の死に思い悩む娘に対し、警察は他殺の可能性があることを告げる。彼女は妄想のように脳裏を離れぬ疑惑に苦しみ、前夜父を助けてくれた青年、トビー・ダイクに助けを求めた。はたして、これは自殺に見せかけた他殺なのか、それとも、その反対なのか?真相を巡って推理は二転三転する。英国の巨匠エリザベス・フェラーズの傑作本格ミステリ第二弾。(本書あらすじより)

第二弾というのは紹介順で、シリーズとしては第三作にあたります。
いやしかし、『猿来たりなば』も面白かったですが、これはそれ以上ですね。非常に出来のいい本格ミステリだと思います。ちなみにユーモア度合いはそんなに高くありません。

終始、果たして自殺か、それとも他殺か、ということが問題となります。これ自体は割とあるネタなんですが、前日の自殺未遂(この状況もうさんくさい)、被害者(?)の当日の曖昧な行動、関係者の偽証に次ぐ偽証、などの要素を極めてバランス良く配置することで、真相がとてもつかみにくいものとなっています。これが実に上手いんですよ。あくまで問題はシンプルでありながら、ひねくり回して長編に出来るくらいの手掛かりを置くことに成功しています。

そして最後の真相の提示の仕方がまた上手いんですよねぇ。この手のミステリって結構型が決まっていて、「実は殺人でした」→「実は自殺でした」→……の無限ループによって二転三転させていくため、だんだんひっくり返しに驚けなくなってしまう、という問題があります。ところが作者は、まぁ何と言うか、調度良いところにクッションを置いたわけですよ。そのおかげか、素直にラスト驚くことが出来ました。というか、このシリーズを読んだことあるんだから、どんでん返しに気付けても良さそうなものなのに(笑)

というわけで、オススメです。古き良き英国本格ミステリの一品。ちなみに英国新本格世代ということもあり、黄金時代の作家とはやはり明らかに何か違いを感じるのですが、上手く言語化出来ません。今後の課題と言うことで。

書 名:自殺の殺人(1941)
著 者:エリザベス・フェラーズ
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mフ-13-2
出版年:1998.12.25 初版
    2000.9.8 3版

評価★★★★☆
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