暗い鏡の中に
『暗い鏡の中に』ヘレン・マクロイ(創元推理文庫)

ブレアトン女子学院に勤めて五週間の女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。彼女への仕打ちに憤慨した同僚ギゼラと、その恋人の精神科医ウィリング博士が調査して明らかになった“原因”は、想像を絶するものだった。博士は困惑しながらも謎の解明に挑むが、その矢先に学院で死者が出てしまう……。幻のように美しく不可解な謎をはらむ、著者の最高傑作。(本書あらすじより)

マクロイの代表作ですね。昨年復刊されたものです。
……うぅん、なんか、ひょっとしてマクロイは自分にあわないのかも。これで3つ目ですが、どうもしっくりこないんですよね。『幽霊の2/3』とかめちゃめちゃ評価高いですが、私的には微妙、でしたし(ただ、『家蠅とカナリア』は普通に面白かった)。

読んでいてとっても面白かったのは確かです。この本、ネタバレなしで感想を書くのが難しいんですが、あるテーマを扱っています。自分は『世界ミステリー事典』でテーマを明かされやっていたのですが、これは知らずに読む方が断然お得。というわけで、以下の感想は極めてあいまいです。

サスペンス混じりの、怪奇小説っぽい空気を含んだ、本格気味のミステリ、という味わいなのですが、どうもそれが中途半端に思えました。ラストのオチが嫌いなわけではありません。ただ、ああいう形で終わらせるなら、もっと怪奇っぽくするか、逆にきっちり証拠固めをした上で幻想味を強烈に出すか、どちらかにした方が良かったのでは、と考えてしまうんです。世評的には人気がある作品で、うちのサークルの国内読みの先輩も激賞していましたが、うぅん、なんでだろう。
とにかく、怪奇小説・サスペンスとしてはやや物足りなさを感じます。途中で遺産問題が絡んでくるなど、割と現実的側面が強いせいでしょうか。また、本格ミステリとしてはトリック・決め手の出来がイマイチ。というか、トリックはそもそもないようなものなので、補強証拠を何とかして欲しかったところ。犯人をしっかり追及した上で、あのラストなら、より好みに近かったのかも。
ちなみにキャラクターに関しては、良く書けていて悪くはないですが、とりたてて褒めるほどでもないというか。いかん、なんかネガティヴになってきた。

……というわけで、うぅん、どうして自分はマクロイを読んだ後はいろいろケチを付けたくなるんでしょ。そういうの、あんまり好きじゃないんですが……。とりあえず、『殺す者と殺される者』を読むまで、マクロイの評価は保留にしておきます。

書 名:暗い鏡の中に(1950)
著 者:ヘレン・マクロイ
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mマ-12-5
出版年:2011.6.24 初版

評価★★★☆☆
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