僕と先輩のマジカル・ライフ
『僕と先輩のマジカル・ライフ』はやみねかおる(角川文庫)

「先輩、ぼくの推理を聞いてもらえますか?」――幽霊が現れる下宿、地縛霊の仕業と噂される自動車事故、学校のプールに出没する河童……。大学一年生井上快人の周辺におきた「あやしい」事件を、キテレツな先輩長曽我部慎太郎、幼なじみの川村春奈とともに解きあかす!ジュブナイルのミステリーキング・はやみねかおるが贈る、ちょっぴり不思議な青春キャンパス・ミステリ、ついに登場。〈本書あらすじより〉

この本、確か高2くらいだと思いますが、単行本で読んだことがあります(単行本は装丁がかっこいいんだよね)。高3まではとにっかくはやみねかおるにはまっていて、その頃までに出た作品はほとんど読んでいたはず。今回久々に読み返してみましたが、うぅむ、これは、大学生になってから読むとだいぶ印象が変わりますね。
なお、これはもはや表紙詐欺レベルだと思うんですが、タイトルの「先輩」とは表紙に写っている女の子のことではありません。紛らわしいにもほどがある。

「騒霊」
「地縛霊」
「河童」
「木霊」

基本的に「日常の謎」系統の話だと思います。アパートに幽霊が出た、何にもない真っすぐな道で多発する自動車事故、プールに出る河童、桜の木の下に埋まっているというウワサの死体、などなど。どの話もはやみねかおるらしいユーモアで語られ、はやみなかおるらしい謎解きがなされますが、それに加え、人間の感情を鋭く突いた指摘が見られるのが特徴でしょうか。特に「地縛霊」ですね、このゾクッとさせる終わり方はなかなか秀逸です。このへんがジュヴナイル作品とは一線を画すところなのかな?青い鳥文庫で夢水シリーズなんかを読みあさった子供時代を持つ人にとってもオススメしたい作品です。

主人公の井上快人(表紙の男の子)は、クソ真面目中のクソ真面目で、本人はいたって普通であることを自任してはいるものの、周囲からは「変人」のレッテルをはられています。高校の時はイマイチその変人であることが分からなかったのですが、今大学生として読むと、うん、これはやっぱり変人でした(笑)
そんでもって、春奈が可愛いんですよね、これがまた。もういかにも本の中でしか登場しなそうな幼馴染像ですけど。この二人がもっとイチャイチャすればいいのに。

井上快人と、幼馴染で超能力者の川村春奈のコンビは、作者がずいぶんと気にいっているのか、いくつかの作品に登場しています。初登場の短編「天狗と宿題、幼なじみ」は『殺意の時間割』で読んだことがあるんですが、あの時はたしか小学生でしたからね、だいぶ印象が違います。逆に、夢水清志郎シリーズの『「ミステリーの館」へ、ようこそ』では大人版になった彼らが出てきますが、こっちはなんか出したくて出した感がとっても強くて、あんまり意味のない登場でしたね、たしか。

その他、いくつか他のはやみねかおる作品と関連があることについて気になるのは、やっぱり今川寮に住んでいる黒川さんですね。この人は確実に、「都会のトム&ソーヤ」シリーズに出てくる二階堂卓也の上司の黒川部長です。ということは、時系列的に数十年ずれている、ということなのかな……。
今川寮の卒業生として、柳川忠司という人が出てきますが、こちらは「都会の~」の柳川博行とは無関係、なんでしょうね、たぶん。柳川博行は美大生ということですから、時間軸的にずれがあります。いや、まさか息子という可能性も……。

……なんか延々と語りそうなのでこのへんで。やっぱはやみねかおる良いなぁ。

書 名:僕と先輩のマジカル・ライフ(2003)
著 者:はやみねかおる
出版社:角川書店
    角川文庫 は-34-1
出版年:2006.12.25 初版
    2010.5.15 6版

評価★★★★☆
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