放課後はミステリーとともに
『放課後はミステリーとともに』東川篤哉(実業之日本社)

鯉ケ窪学園高校探偵部副部長・霧ケ峰涼の周辺には、なぜか事件が多い。校舎から消えた泥棒、クラスメ-トと毒入り珈琲一族との関わり、校外学習のUFO騒動――解決へ意気込む涼だが、ギャグが冴えるばかりで推理は発展途上。名推理を披露するのは探偵部副部長なのかそれとも?ユーモア学園推理の結末は?(本書あらすじより)

義務的読書後半戦。いい加減読みたくもないものを読まされるのに飽きてきました。ここから国内ミステリ作家を一気に4つ消化します。

で、近頃話題の東川篤哉さんです。『謎解きは~』以来人気がやばい人です。ユーモアミステリです。売れに売れてます。
……という感じから、どうせしょーもない短編ばっかりなんだろうと、すっかり高をくくって読み始めてしまいました。ごめんなさい。
物語は、カープとミステリ好きなテンション高い高校生・霧ヶ峰涼を主人公・語り手として展開します。探偵部シリーズは長編が2つ出ており、本作は番外編的なものであるらしいです。といっても、探偵部初登場作品は本短編集の第一話なんですけどね。というのも、収録作品は2003~2010年にわたっており、ほぼ1年に1作ペースで連載されてきたものなわけですよ〈長編第一作は2004年〉。東川さんの作家歴を象徴するシリーズ、ということでしょうか。

収録作品は以下の通り。
「霧ケ峰涼の屈辱」
「霧ケ峰涼の逆襲」
「霧ケ峰涼と見えない毒」
「霧ケ峰涼とエックスの悲劇」
「霧ケ峰涼の放課後」
「霧ケ峰涼の屋上密室」
「霧ケ峰涼の絶叫」
「霧ケ峰涼の二度目の屈辱」

まぁやっぱり、とっても読みやすいです。急いで読んだせいもありますが、楽々で一日で読み終わります。後には何も残りません。まさにエンタメ。
ですが、予想外にミステリとしての出来がしっかりとしていました。予想外とか言っちゃいけないんですけど。心理トリック・物理トリック共に用いられており、割と独創的です。「霧ヶ峰涼の屋上密室」のトリックとか、かなり秀逸だと思うんですけどねぇ。つまるところ、非常に堅実な出来栄えのユーモアミステリだ、ということです。
……ま、一番驚いたのは第一話で明かされるある設定ですけどね。これはビックリです。いろんな意味でぶったまげました。ってかズルイです(笑)

また、ミステリファンならピンとくるような小ネタをちょこちょこ挟んでくるのも嬉しいところ。タイトルに「エックスの悲劇」を入れるのは、まぁエックスは何の意味もないのでご愛敬としても、例えば「霧ヶ峰涼の屋上密室」なんかはエドワード・D・ホック「長い墜落」を強烈に想起させる作品です。こういうネタをもっと仕込んでくれると、さらに良いんですけど……。

と偉そうなこと言ってきましたが、基本は勢いとノリで読ませる、ギャグ性の高い読み物だと考えれば問題ないですね、うん。変人の多い作品ほど面白さ、ってかバカバカしさがあがって楽しいのは気のせいかな?何だかんだ言って、こういうユーモア系は、自分、結構好きなので、どうしても評価が甘くなりがちです。「霧ケ峰涼とエックスの悲劇」の激しいギャグはそれこそ爆笑物なので、とりあえずこれを本作のマイベストということで。

……でも、こういう作品ばっかり読んでると、自分が頭悪いように思えてくるのはなぜなんでしょうか。うーん。

蛇足1。顧問の先生が毎話出てくると思ったら、数話しか出ないのはちょっとガッカリでした。コーヒーいれるシーンとかもっと読みたかったです。
蛇足2。「霧ケ峰涼の絶叫」「霧ケ峰涼の二度目の屈辱」は、この順で収録されているわけですが、発表順は逆のようです。まぁ、全体構成としてはこの方がいいわけですが。

書 名:放課後はミステリーとともに(2011)
著 者:東川篤哉
出版社:実業之日本社
出版年:2011.2.25 1刷
    2011.3.10 4刷

評価★★★★☆
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