探偵家族
『探偵家族』マイクル・Z・リューイン(ハヤカワポケミス)

風光明媚な町バースに住むルンギ一家は親子三代にわたる名探偵。頑固な親父さんに、それをなだめる優しいママ。長男は放蕩者で、長女は目下不倫中の困り者だが、次男とその美貌の妻が探偵事務所をきっちり運営する。もちろんやんちゃざかりの二人の孫たちも大活躍だ。そんな彼らのもとに、近所の主婦が来て台所洗剤が「おもわぬ場所」にずれているので調べてくれという変な依頼が……。みんなで楽しめる家族団欒ミステリ。(本書あらすじより)

イタリアに行く飛行機の中で読み始めた本です。ルンギ一家がイタリア系であることを考えると、なんたる偶然、むしろベスト読書ではと思ってしまうんですけど。

ちなみに、リューインは初読です。いやまぁ、ハードボイルド作家なので、なかなか手を出していないんですよ。この『探偵家族』は例外的なほのぼの系だということですから、結局、まだどんな作品を書く作家なのか分かってないんですが。

で、この『探偵家族』です。サークルでの義務的読書の1つ、でしかなかったんですが。
……なにこれ、むっちゃ面白い。というか、好みどストライク!いいぞいいぞほのぼの系。続編も読もう。

読み味としては、そうですねぇ、自分が読んだ中ではクレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にもっとも近いです。コージーではない、この上なくまったりとしたミステリというか。ちなみに『スイート・ホーム』は、個人的にマイベスト10にランクインする勢いで傑作だと信じています。反論は認めます。
加えてモジュール型という贅沢さ。あらすじにある「洗剤の位置がずれてたよ事件」の他に、ニセ私立探偵、事務所のデジタル化、孫娘マリーの不審な行動、などなど盛りだくさん。モジュール型の醍醐味は、複数の事件が並行して描かれ、なおかつそれらが合わさっていく様を楽しむことにありますが、本書ももちろん(ある程度は)その期待に応えてくれます。ま、そんなに凝ったものではないし、ちょっと予想がつくことではありますが。

というか、総じて言って、ミステリとしてはそれほどの物でもありません。終盤、あらゆる事件が解決に向かって一気に終息していくのですが、やや急ぎすぎたような気がします。スピード感・錯綜感を演出したかったんだとは思うんですが、ちょっと雑になってしまったかなぁという印象です。

ですから、結構欠点の目立つ作品ではあるんです。
んがっ、しかし!そんなことをグチグチ言っててはこの本はそりゃあ楽しめませんよ。総勢8名プラス部外者何名かのルンギ一家の縦横無尽の(統率のとれていない)活躍、これを楽しめればいいんです!ユーモアにあふれ、なおかつちょっぴりドライな口調に乗せて語られるルンギ探偵事務所の捜査活動がとにかく面白い。家族の面々のキャラクターがそれぞれしっかりと立っているせいか、読んでいて絶妙な安心感を得られ、なおかつ一気読み。時間軸をたまに前後させるのはリューインの癖なのでしょうか、この書き方も悪くないです。やっぱりこの読み口は『スイート・ホーム』に似てますね。作品自体はそんなに似てないんですけど。

とにかく、ミステリ読みだろうがそうじゃなかろうが、全ての人にお勧めできる良作だと思います(傑作かはともかく)。続編『探偵家族/冬の事件簿』もポケミスで出ているようなので、読むのがいまから楽しみです。ちなみに2011年に長編第3弾Family Wayが出たようですが、早川さん、果たして訳してくれるかどうか……。

書 名:探偵家族(1995)
著 者:マイクル・Z・リューイン
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1655
出版年:1997.10.15 初版

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/779-85bdcbaa