『百万に一つの偶然』ロイ・ヴィカーズ(ハヤカワ文庫)

男は恋人を奪った友人を殺した。目撃者は友人の飼い犬だけ。犬を始末すれば完全犯罪成立のはずだった。死んだ犬が警察に通報さえしなければ……信じられないほど些細な手がかりが完璧な犯罪計画を覆す表題作他、幸運な偶然と刑事たちの冴えた推理が謎を解き明かす9つの名篇。スコットランド・ヤードのあらゆる課が持て余した事件を引き受ける世に名高い迷宮課の事件簿を一挙公開!クイーン大絶賛の倒叙ミステリ短篇集

ヴィカーズ初読です。なぜかブックオフで百円で売ってました(笑)

非常に楽しみにしていたシリーズなんですが、やっぱり僕は短編はそうでもないみたいです。当たりハズレがおっきいですね。一番出来がいいのは表題作でしょうか。面白いのでも、一気に読みにくいという印象です。全体的には、第一短編集の方が間違いなく出来がいいと思います。

「なかったはずのタイプライター」
一話目にしてはお粗末だったかも。タイプライターの代わりをあの品物がはたせるかは微妙ですし、そもそも証拠としては弱すぎるんじゃないでしょうか?

「絹糸編みのスカーフ」
スカーフの出てきかたは迷宮課ならではですが、そこからの流れは無理矢理感があります。ちょっと単調だし。

「百万に一つの偶然」
これは傑作です。
犯人の性格もいいですし、レイスン警部が解決するための手掛かり、構成もきちんと出来ています。果たして犯人はどう捕まんのかと思いきや、こいつは一本取られました。

「ワニ革の化粧ケース」
そりゃまあ惚れるのは勝手だけど、こんなアホな共犯者じゃ犯人がかわいそうです。

「けちんぼの殺人」
ケチなことがどれだけしっかりとした証拠になるかは疑問ですが、犯人のトリックもなかなかですし、犯人像も好感がもてます。

「相場に賭ける男」
つまり、娘への母親の愛は、父親を超えるってことです。非常に共感の持てる犯人だと思いますし、アンスティもいいキャラ出してます。ところで、実際当時に排気ガスの事件はあったんでしょうか?

「つぎはぎ細工の殺人」
まあ自業自得です。
しかし、解決方法はかなりよく出来ています。てっきり落ちた粉がなんか絡むんだと思っていたのに、ここまできちんとした証明が出来るとは思いませんでしたね。

「九ポンドの殺人」
うーん、どうなんでしょう。やや簡単すぎる出来だと思います。被害者には同情は感じませんけどネ。

「手のうちにある殺人」
ヴィカーズはこの話を考えた時、大いに調子のったでしょうが、読者としては、なんとなくもやもやとした不満の残る作品です。

書 名:百万に一つの偶然
著 者:ロイ・ヴィカーズ
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 48-2
出版日:2003.7.15 初版

評価★★★☆☆
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