『ママは何でも知っている』ジェイムズ・ヤッフェ(ハヤカワポケミス)

金曜日の夜は、ブロンクスのママの家で開かれる週に一度の夕食会。集まるのは殺人課の刑事である息子のデイビッドと妻のシャーリイ、それにママの三人だけ。でもデイビッドにとっては貴重な夜だ。すばらしい料理にまして、ママの助言は聞き逃すことができない。警察を何週間もきりきりまいさせている難事件を、ママはいとも鮮やかに解決してしまうのだ。ママに言わせれば、殺人犯人を突き止めることなど児戯にひとしい。今夜の事件は…?(本書あらすじより)

図書館には、ヤッフェの長編は全部そろっているんですが、なぜかこいつだけないので買いました。ぶっちゃけた話、こんなにおもしろい短編集は初めてです。全話基本の流れがあり、①デイビッド事件の説明②ママが2,3の質問をする③ママが謎解きをする、となっています。そして読者は、②と③の間に一生懸命に頭を使えば、事件を解決出来るにちがいありません(僕はダメだったけど)。パズル的な面白さに加え、食卓の会話のユーモラスさ、ママを結婚させようとする息子夫婦のたくらみもろもろ、などなどくすりと笑わせる要素がたっぷりつまっており、一つ一つが傑作に仕上がっています。

1 ママは何でも知っている
やや単調です。事件構成自体は一番こっているのですが、いかんせん、短編のママはいかにコンパクトかが大事です。もっとも、この短編が、ママシリーズの醍醐味を全て表しているともいえるわけです。

2 ママは賭ける

やや難しい事件ですね。読者が解決することは出来ないかもしれません。アービングに犯行は無理、ってことぐらい、警察は気づいてもいいんじゃないか?

3 ママの春

初登場ミルナー警部が半端なくいい味出してます。こういう、ママの個性についていけるようなキャラが出るのは読んでいて楽しいですよね。事件自体も申し分ないです。

4 ママが泣いた (Mom Sheds a Tear)

まぁ容疑者はほとんどいませんしね。当然と言えば当然の答えです。

5 ママは祈る (Mom Makes a Wish)

きちんとした論理の組み立て、完璧です。ミステリとはこうあるべきもの、って感じですね。

6 ママ、アリアを唄う (Mom Sings an Aria)

少々読みにくい話です。オペラ知識がないと、解決はちと無理かもしれません。

7 ママと呪いのミンクコート (Mom and the Haunted Mink)

かなり読みやすい、面白い話でした。海外ミステリでは、霊媒とかを扱ったものが多い(クリスティの短編とか)ですが、うまく利用して作られています。

8 ママは憶えている (Mom Remembers)

ちょっと単調でしょうか……。2つの事件をつなげるという発想はいいんですが、その必要もなかったんじゃないでしょうか。過去の事件はかなり楽しめます。

書 名:ママは何でも知っている
著 者:ジェイムズ・ヤッフェ
     ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1287
発 行:1977.7.31 初版
     2003.7.15 9版

評価★★★★☆
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