はい、毎年恒例ベスト10です。例によって、海外ミステリのみ、一作家一作まで、再読(『アクロイド殺人事件』など)は除外、です。今年読んだ海外ミステリは計61冊、そのうち国内は6冊でした。読んだミステリの数に関しては、未だに2009年の65冊を超えられません。なぜだ。

さてさて、前置きはこれくらいにして、いよいよ発表です!


1 カーター・ディクスン『貴婦人として死す』(1943)
2 ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『赤い右手』(1945)
3 ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』(1980)
4 コリン・デクスター『ニコラス・クインの静かな世界』(1977)
5 チャールズ・ディケンズ『荒涼館』(1952~1953)
6 エラリー・クイーン『エジプト十字架の謎』(1932)
7 イズレイル・ザングウィル『ビッグ・ボウの殺人』(1891)
8 アン・クリーヴス『野兎を悼む春』(2009)
9 ジム・ケリー『水時計』(2003)
10 アントニイ・バークリー『第二の銃声』(1930)

……なんか、いつになくクラシックが多い気が。戦前が半分ですよ。
全体的に言って、今年は面白い本に結構当たれたと思います。ただその一方、オールタイムベスト級の、個人的ヒット作はありませんでした。過去3年、1、2位の作品はもう大傑作だったんですが、今年の1位はおそらくそのどれよりも下です。ただし、今年は10位までかなり出来がいいのも確か。
ちなみに今年はランキングがかなり作りやすかったです。いつもは6位と7位をどっちにするかとか、真ん中を苦労するんですが、今回は簡単に出来てしまいました。


1位の『貴婦人として死す』は、今年一番「ミステリ」として感心した作品です。カーの中ではあまりメジャーでない方だと思うんですが、何となく読んでみると思わぬ大当たりでした。といって、まだ『火刑法廷』すら読んでいない自分に、カーを語る資格はありません。

2位『赤い右手』は、えーっと、これ、2位でいいんでしょうか(笑)とにかく、とんでもない問題作です。やってることはメチャクチャで、ミステリとして規格外中の規格外ですが、これは確かに一読の価値があります。何だか読んでいてとにかくのめり込みました。
……と断言しながら、あんまり周りに強く勧められないのが困ったところ。

何で『薔薇の名前』が3位なんだとお怒りになられる方、ごもっともです。これこそオールタイムベスト級です。正直自分でも、これが1位だと思います。
……ですが、いかんせん自分の教養が不十分なせいで、100%物語を理解できなかったんですよ。べらぼうに面白いのに。ラストは圧巻で、読後感も最高なのに。再読すれば、間違いなく1位になると思います。ごめんなさい。

4位は、2年ぶり、かつ最後のデクスターです。とうとうシリーズ全部終わってしまいました……ま、デクスターは再読してなんぼですが。全然ストーリーを思い出せないのが彼の作品のすごいところです(笑)個人的にデクスターが大好き、かつ久々に読むのでテンションがあがった、というのを割り引いても、『ニコラス・クイン~』はかなり出来がいいと思います。

5位の『荒涼館』は、迫力と壮大さと感動レベルなら文句なしに『薔薇の名前』に次いで2位になるはずですが、やっぱりね、長いんです。というか、完全にミステリというわけではないし。2巻までを読んだのが去年だった、というのもあります。そんなこんなで、順位は抑えめ。やっぱりべらぼうに面白いですけどね。

6位『エジプト十字架の謎』は、評判通りの傑作でした。ただ、今まで読んだ国名シリーズを考えるに、たぶん自分はこの時期のクイーン作品は手放しで好きになれないだろうと思います。終始論理論理してるため、物語としてはやっぱり落ちると思うんですよ。今年読んだ『シャム双生児の秘密』の方が、その意味でははるかに面白いです。こっちはミステリとしてはあれだったけど。

7位『ビッグ・ボウの殺人』、これは予想外でした。予想外に面白いんですよ、これが。好みどストライク。みんなもっと読もう。

8位のアン・クリーヴスは、地味ですが確実に面白いです。というか、イギリスの寒い田舎の地味な本格、と言われて反応するような人(いるのか?)は必ず読むべきです。ここには第3作をあげましたが、第1作の『大鴉の啼く冬』もかなりオススメです。第2作は……ら、来年読みます。

9位のジム・ケリー、12月30日に読み終わったやつですが、急きょランキングに登場しました。手堅い地味な本格物ですが、8位のアン・クリーブスとは違った大きな魅力があるような気がします。寒いってのは同じですけど。

10位のバークリーは……ま、そういうことです。いやだって、面白いけど、特にコメントすることがない。

ランク外として、トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』(1949~1958)、およびモーリス・ルヴェル『夜鳥』(1928)をあげておきます。どちらも短編集。
『アデスタを吹く冷たい風』は、7編のうち、ノンシリーズ3つはそこそこの出来栄えですが、テナント少佐ものの4つが半端なく面白いです。これはすごい。この鋭い持ち味は、読んでみないと分からないと思います。傑作の名に恥じない短編集でしょう。
『夜鳥』はショートショートとも言える分量の作品がどっちゃり入っており、いずれもかなりの水準作です。田中早苗による翻訳がまたいいんだな、これが。怪奇系の短編は個人的にそこまで好きではないんですが、この淡白な味わいは何とも言えない良さがあります。


こんなところですね。ちなみに国内は、読んだ6つのうち、平石貴樹『だれもがポオを愛していた』(1985)に一票入れます。サイン貰ったぞ、わーい。


何だかんだ今年は古典が多かったんですが、たぶん、来年もそうなる気がします。特にクイーンとカーは読み進めておきたいところ。クイーンの『ギリシア』も読んでいないとか、どんなミステリ読みじゃ。
そして来年こそは、レイモンド・チャンドラーと、ディック・フランシスの競馬シリーズを読みます。今度こそ読みます。『長いお別れ』もまだ読んでないって、どんなミステリ読みじゃ。おんなじようなことを去年も言った気がするけど、気にしない気にしない。



来年も実り多き年でありますように!それでは皆さん、よいお年を~。
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