スターヴェルの悲劇
『スターヴェルの悲劇』F・W・クロフツ(創元推理文庫)

スターヴェル屋敷が一夜にして焼失し、主人と召使夫婦の焼死体が焼け跡から発見され、金庫の中の紙幣が大量に灰になるという事件が起こった。微かな疑問がもとで、スコットランドヤードからフレンチ警部が乗り出すこととなった。事故か?放火殺人か?だが、フレンチの懸命な捜査を嘲笑うように、事件は予想外の展開をみせて……。クロフツ初期の傑作として名高い作品の完訳。(本書あらすじより)

初クロフツとして『英仏海峡の謎』を読んだところ、まぁまぁ面白くって、よしそんならと『樽』を読んで、ダメだちょっとムリ……となってはや3年。以来クロフツはなかなか挑みがたい壁となってしまったのでした。
で、このままじゃいかんということで、とりあえず代表作からと『スターヴェルの悲劇』にしたわけですよ。果たして結果は?

おぉ、結構面白い、というのが正直な感想。あらすじも何も見ないで読みはじめたんですが、最初の一章で黄金時代にしては信じられないくらい規模の事件が起こって、何だか分かりませんけどとりあえず興奮したのでつかみは良し。
火事に不審な点があるとのことでフレンチ警部がはるばるやってくるんですが、この人の捜査って、何だかものっすごい退屈なイメージがあったんですよ。ところがこれがなかなか読ませます。ちょっとずつ事件の裏が明らかになっていく様が楽しいんですよ。な、なるほど、こんな手がかりから!みたいな、読者も一緒に捜査に参加しているという感じでしょうか。
そしてフレンチ警部、どの作品でもそうなのかは知りませんが、今作ではやたらと昇進昇進と連呼しています。おっしゃ手柄を立てた、こりゃあ出世するでしょ、みたいに、虎視眈々とミッチェル主席警部の座を狙っているわけです。ってこんなキャラだったの?(笑)
しかし、登場人物一覧に載っているだけあり、このミッチェルさん、ちょっとしか出てきませんがかなりの切れ者です。当分出世は無理ですね。この人、他の作品にも出てくるんでしょうか。

というか実際のところ、今作でのフレンチ警部はあんまりかっこ良くありません。コツコツ犯人を追いますが、そんなにでかい手柄を立てられずに終わってしまうんです。読者としては、犯人を当てられないとしても、薄々真相に気付けてしまうと思います。特に犯人逮捕の数ページ前にもなるとほぼ分かります。ですから犯人当ての要素はそれほど強くはないでしょうね。あくまで捜査過程を楽しむべきミステリでしょう。

まあしかし、プロットはかなり良く出来ていると思います。代表作にあげられるだけはありますね。気軽な読書に最適かもしれません。
さて、次はどれを読めばいいのかなぁ。

なお、やたらと長い解説において、『フレンチ警部最大の事件』の犯人ネタバレがなされています。ちょ、勘弁してください。

書 名:スターヴェルの悲劇(1927)
著 者:F・W・クロフツ
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 106-30(Mク-3-7)
出版年:1987.9.25 初版

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/720-c9cf3ad8