『「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁』マーサ・グライムズ(文春文庫

休暇中のジュリー警視、めずらしく友人のメルローズ・プラントを訪ねたが、地元の骨董屋トルーブラッドが披露に及んだアンチークの書記机に押しこめられた男の死体を発見する仕儀となる。どこへ行っても事件にぶつかる因果をなげきつつロンドンに戻ると、テムズ川に浮かぶボートの中に今度は女の死体。その顔を見て、警視はアット驚いた…。(本書あらすじより引用)

この事件内容も、解決の仕方、容疑者のなんやかんや、まさにグライムズならではです。こうした作品を作れるのは彼女だけでしょう。トリックというか、構成がややこしいので(例によってグライムズは説明が少ないんじゃないか)きちんと読んでいくことをおすすめします。彼女の作品の中では、印象深い犯人となること間違いないでしょうね。

シリーズファンにとってなにがうれしいかって、第一作の舞台:ロング・ピドルトン再登場にほかなりません。トルーブラッド、ヴィヴィアン、アガサ、スクロッズなんかはどうせ毎作でてるんですが、やっぱり作者としても、この村には愛着があるんでしょうね。今回終始にわたって描かれるアガサの裁判もなかなかいい味を出しています。この裁判をからめた作品の終わり方もいいですよね。グライムズは結末が上手だと思います。アガサは第1作ではうざったいおばちゃんだったのに、最近は登場すると、いかにそれをメルローズがあしらうか、という単なるメルローズの引き立て役になってるのが、まぁ彼女には気に食わないことでしょう(笑)

事件としても素晴らしいです。読んで、こんなに犯人に同情できる作品もめずらしいんじゃないでしょうか。グライムズの作品の犯人は、たいてい身勝手な人物ですが、結末から判断すれば、今回はただひたすら悲劇の中心人物となっているのが犯人です。だいたい、犯人の正体が最後になってもイマイチ判断がつかないというのもすごいんですが…。イヤな人物が殺される、ってのは、いつも通りですけどね。

とにかくベストセラー入りしただけはあります。ぜひ一読を(ただしその前に、シリーズ全部読まなきゃいかんのかな?いや、そんなことはないか……)。

書 名:「五つの鐘と貝殻骨」亭の奇縁
著 者:マーサ・グライムズ
出版社:文藝春秋
     文春文庫 ク-1-8
発 行:1991.3.10 1刷

評価★★★★☆
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