2009.07.18 『Xの悲劇』
『Xの悲劇』エラリー・クイーン(創元推理文庫)

ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件は、おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室殺人の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、往年のシェークスピア劇の名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。「読者よ、すべての手がかりは与えられた、犯人は誰か?」と有名な挑戦をする、王者クイーン全盛期の路標的名作。(本書あらすじより)

『Yの悲劇』なんかよりもこっちの方が断然オススメです。なんといっても、トリック、謎、話、ミステリ性、どれをとっても一流です。警察はなんて馬鹿なのかしら、レーンはもうちょっとしゃべったっていいじゃないかと、そりゃあケチはつけられましょうが、なんだかんだいったって一気に読めます。「一気に読める」というのは、ミステリとしてはほめ言葉だとおもうんですが。

犯人がまさかこいつとは、と驚きましたね(『Yの悲劇』みたいな驚きとは違う)。他にもいっぱいいるのに、まさかこの人かい!という感じ。最後のレーンの推理を語る場面は、少々くどい気もしないでもないですが(訳す人は大変だったでしょうに。作品全体で、訳者さんがんばってる感があります)きちんと手がかりが入っているという点では、フェアプレイの極みです。

レーンは初登場にして、なんだってこんなにすんなり捜査陣に入れるのか、ってのはやや疑問ですね(笑)こんな入り組んだ事件解決した後はいくらだって介入できそうですが、あくまで元俳優のジジイですからね。ただ、このレーンの物腰が、自然な雰囲気を作り出しているわけです。

ところで、「読者よ、すべての手がかりは与えられた、犯人は誰か?」という有名な挑戦をする、とあらすじにありましたが、てっきり解決編の前にその挑戦が出るのかと思ってました。ところがなんの前触れもなく犯人は捕まり、解決編は始まり、って来たので、ちょっとガッカリしました。とはいえ、黄金期を代表する一冊としては、文句なしにオススメできますよ。

書 名:Xの悲劇
著 者:エラリー・クイーン
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mク-1-1
発 行:1960. 初版
     2007.10.12 102刷

評価★★★★☆
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