813 続813
『813』『続813』モーリス・ルブラン(偕成社)

パリ市内のホテルで連続殺人事件が発生した。殺されたダイヤモンド王ケッセルバッハはある人物の調査を進めており、謎の暗号「813」と「APOON」がその鍵となっているらしいのだが……。ルパン、ロシア貴族、国家警察部長、謎の男爵、ドイツ皇帝、ホームズ、そして殺人鬼「L・M」が死闘を繰り広げる大長編。ルブランの最高傑作とも言われる。(あらすじ)

ここ数年またルパンを読み直したいなぁと思っていたんですが、ようやく実現できました。とりあえず、傑作と名高い『813』を再び読むことにしましたが、読み終わって気付きました。ははぁ、わたしゃこの本を読んだことはないな、と(笑)

ルパン物の中では推理小説要素が強いとも言われます。○○の正体は誰だ!的な謎が中心となりますが(一番身近なところでは、ルパンは誰に変装しているのか、という見え見えの問題)、推理小説ファンの間では変装とか、あの男は実は○○だ!みたいなネタはあまり評価されない傾向にあります。ま、仕方ないですね。やはりルパンは推理小説というより冒険小説ですから。

前作『奇岩城』の4年後ということになっており、ルパンももはや38歳、立派なおっさんであります。そして前作までのルパンは、軽妙でちょっとやんちゃな、いわゆるザ・義賊、ってキャラクターだったと思いますが(たしかね)、今作ではルパンの性格に変化が見られます。目的のためなら周りのやつらなんか知ったこっちゃねぇ、というジコチューな性格になっちゃったわけで、ぶっちゃけちょっと性格が悪いです(いや、そんな悪くはないけどさ)。こんなルパンだからこそ、最後の最後に痛い目を見ることになるわけで、そこが見どころの一つでもあります。

ルパンと敵対する人間はぞろぞろ出てきますが、やはりルノルマン国家警察部部長がいいですね。彼の活躍シーンはルパンの出張っているシーンよりワクワクします。彼がどう物語に関わってくるかが面白いですね。ちなみにホームズさんは一瞬名前が登場するだけという散々な扱いです(爆)


全体的に言って、冒険小説としては非常に楽しめる佳作だと思います。子供心に帰って、ルパンの活躍に胸を躍らせればいいんじゃないでしょうか。まぁ個人的には、後期の渋いルパンの話の方が好きな印象がありますが。

ちなみに翻訳権の関係上、現在入手が容易な『813』は、この偕成社版と新潮社版のみです。新潮社版の堀口大學訳はルパンの一人称が「わし」だったり妙に漢語調だったりするため、個人的には偕成社版をお勧めします。児童書という扱いではありますが(だから翻訳権にひっかからなかったらしい)、大人が読んでも何の問題もありません。ルパンの全集は偕成社版しかないわけですし。

なお、ルパンの解説については「怪盗ルパンの館」というサイトがオススメです。『813』の解説では、舞台となった場所、時代背景、登場人物の追跡などやたらに詳しくてこっちがひくほどです。読み終わった方はぜひ一度ご覧になってみてくださいな。

書 名:813(1910)、続813(1910、1917年に大幅改訂)
著 者:モーリス・ルブラン(モーリス=ルブラン)
出版社:偕成社
出版年:【813】1981.9 1刷
         1989.8 11刷
    【続813】1981.10 1刷
          1988.8 9刷

評価★★★★☆


スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/665-f1cb45ee