笑ってジグソー、殺してパズル
『笑ってジグソー、殺してパズル』平石貴樹(創元推理文庫)

国際ジグソーパズル連盟日本支部長を務め、三興グループの実質的なオーナーでもある興津華子の死の床は、肩書きに相応しくジグソーパズルのピースで彩られていた。捜査に伴って多額の遺産や系列会社のデータ捏造に絡む背後関係が浮かび、容疑者が絞られつつある中、第二、第三の事件が……。弱冠二十一歳の法務省特別調査官が捜査官と協働し、動機に囚われない独自の探偵法で真相を探る。高木彬光が<坂口安吾氏以来の傑作>と賛辞を呈した、名探偵更科ニッキ初登場作品。(本書あらすじ、一部改変)

まさかの同著者二連続を、今年2回もやってしまうとは。ううむ。いやまぁいいんだけど。

ガチガチの論理で攻める本格ミステリです。結論からいえば、前回読んだ『だれもがポオを愛していた』には到底及ばないかな、と。死体周辺に散らばるジグソーパズルとか、親戚ぞーろぞろの展開とか、何だかいかにも面白そうで、いや実際つまらなくはないはずなんですよ。解決編の論理的な推理(やはり長い)は確かに素晴らしかったです。ただなぁ、捜査シーンが、何か妙にのれないというか、どんどん読み進められはするんですが悪く言えば退屈でして。

『ポオ』と比較してみると、まず大きな違いは、『ポオ』は事件がかなり派手で、やったらと手掛かりがボンボン出てくる一方で、容疑者のアリバイは一切描かないし、動機もあんまり書かなく、それからトリックがあるというよりは事件の構築がメインであるのに対し、『ジグソー』は手掛かりはどっちかと言えば少なく、アリバイがわんさか出てきて、ニッキは推理に動機を必要としないのに警察側はやたらと動機を気にするもんだから動機に関わる捜査がめちゃめちゃ多く、さらに第三の事件はトリックも絡んできたりと、だいぶコンセプトが違うんですよね。地道な捜査はもちろん結構ですが、あまり読者を引っ張りきれていないのかなという気がします。結局、登場人物のアリバイって、あんまり読んでて気にしなくなっちゃいますよね。
もちろん解決編は論理論理で結構面白いです。正直『ポオ』には論理的な構成では及ばない気もしますが、まぁ手掛かりがそこまでどさどさ出てくるわけじゃない以上しょうがないかなと。

もうひとつイマイチのれなかった理由として、これは個人的なことなんですけど、ニッポン警察の捜査シーンが好かん、日本人名が好かん、日本人の会話って語尾にカタカナついたり妙にくだけたりしていてうぜぇ、というのがあります。いや、超個人的な意見ですけど。ただ、何かやたらと日本の警察って机叩くじゃないですか(っていうイメージがあって、たぶん筆者がそういう刑事ドラマの感じに合わせたんだろうなぁ)。ニッキの口調もなんか妙に鼻につくし(というか、本を読んでて、普通の喋り方って、翻訳物にはあんまり出ないじゃないですか)。

決してつまらなくはないし、出来も水準以上なんですけど,読んでてあんまり楽しめず、ちょっとがっかりでした。

書 名:笑ってジグソー、殺してパズル(1984)
著 者:平石貴樹
出版社:東京創元社
    創元推理文庫 Mひ-2-2
出版年:2002.5.17 初版

評価★★★☆☆
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