ヴィヨンの妻
『ヴィヨンの妻』太宰治(新潮文庫)

授業用に読みました。最近こんなイレギュラーな感想文ばっかりだな……。

や、その、何と言うのか。こう言っちゃなんですが、つくづく自分はこういう話が好きじゃないんだなと思いました。単なる好みなのか、文学的教養がないせいか。どっちもでしょうね、たぶん。

太宰治の最晩年の作品――戦争が終わってから、自殺するまでの3年間の時期の作品を集めたもので、全体的にひたすら暗く、まっすぐ死に向かって突き進んでいる雰囲気です。収録作は以下の通り。執筆順のようです。

「親友交歓」(1946)
「トカトントン」(1947)
「父」(1947)
「母」(1947)
「ヴィヨンの妻」(1947)
「おさん」(1947)
「家庭の幸福」(1948)
「桜桃」(1948)


全ての作品で、主人公が太宰治がモチーフです……というか、いくつかはたぶん、そのまんま本人なんでしょう。もちろん彼は優秀な小説家ですから、あくまでモチーフであり、現実とは異なるんでしょうが、まーそれにしても、手を変え品を変え、同じ主人公をひたすら配置します。つまり、無気力に生き、稼ぎは全て酒にまわし、妻をほったらかして女と遊び、あぁもう自殺でもしないとやっていられんよ、です。ほぼ全部がこう。これだけ似たテーマなのに、毎回読ませるのはさすがといったとこなんでしょうが。


ただまぁ、こういうひたすらネガティブ思考な話は、ひたすらポジティブ思考のTYに根本的に合わないんですよ。そりゃもちろん、自分はお気楽な人生を送っていますから、自殺するほど思い詰める人間の心境なんか分かりませんよ。分かりませんけど、読みながら、何だってこんなダメな生活してるんだろう、希望をつぶしてんのはあなた自身でしょ、としか思えないんですよね。感動も感情移入もへったくれもありません。いや、好きな人には、ほんっと申し訳ありませんが。

唯一楽しめたのが、死後発表だという「家庭の幸福」。この作品には、どこか皮肉なユーモアが感じられます。ユーモアはある意味全作品にありますが、これが一番極端ですね。
「母」はまぁまぁ。「親友交歓」は、嫌いですが、ちょっと惹かれます。表題作「ヴィヨンの妻」も、まぁ悪くないです。あとは全然ついていけません。


というわけで、どうせ今度読むなら「富嶽百景」みたいなのがいいなと思いました。死にたくなった時に読み直したら、めちゃめちゃはまるのかもしれませんが。

書 名:ヴィヨンの妻(1946~1948)
著 者:太宰治
出版社:新潮社
    新潮文庫 た-2-3
出版年:1950.12.20 1刷
    1985.10.30 63刷改版
    2006.10.25 103刷

評価★★☆☆☆
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