法月綸太郎の功績
『法月綸太郎の功績』法月綸太郎(講談社NOVELS)

「大学生になったんだし主要な作家の国内ミステリくらいは読んでみようぜ」企画第3弾!……なんか企画名変わってない?

結構面白かったですね。地味~な本格物で、盛り上がりに欠けることは間違いないですが、まぁ自分はこういうのが結構好きなんで。話の展開も、ストーリーを追うというよりは、ひたすら論理を展開していく、といった感じです。
読むまで法月父子のことを全く知らなかったんですが、これほどエラリー・クイーンを敬愛しているとは知りませんでした。きっと本物のエラリアン、あるいはエラリストなんでしょう。エラリアンだと宇宙人みたい。
巻末のあとがきを読む限りでは、作者さんはひたすら謙虚……ってより卑屈みたいです。自虐ネタが多いです。何だか珍しいタイプの作家さんのような気がしますが。


「イコールYの悲劇」(2000)
ダイイングメッセージもので、タイトルともどもクイーンを意識しています。事件としては、どこぞの2時間ドラマだといいたくなるありきたりのものです。
おおよそ犯人の検討は尽きますが、それをどう実行できたのかに気付けませんでした。この点に関しては悪くないと思います。ダイイングメッセージは……ノーコメントで。

「中国蝸牛の謎」(2000)
密室物。というか、ある意味密室物です。トリック等に関しては、まぁ好みではないとはいえ別にかまいませんが、もう少しストーリーを発展性のあるものにしてほしいですね。巻末でも言っていますが、こうしたトリックが行われるという状況が意味不明です。

「都市伝説パズル」(2001)
第55回日本推理作家協会賞受賞作……だそうですが、個人的にはこの短編集の中で一番楽しめなかったような気がします。いわゆる安楽椅子探偵もので、序盤でほぼ全てのデータが示されます。で、このデータを見ると、どう考えても犯人こいつやろ、トリックこいつやろ、と分かってしまうんですよね(作者も巻末で指摘していますが)。良くできた作品だとは思いますが、トリックが分かっているのに、間違った推理をいろいろと読まされるのはちと退屈でした。

「ABCD包囲網」(2001)
ミッシングリンクもの……なのかな。個人的には、一番面白い作品でした。最後の必然性がないのは確かですが、このストーリーの着想自体は面白いんじゃないかと。実際、そこそこの長さでしたが、一気に読むことができました。

「縊心伝心」(2002)
再び安楽椅子探偵もの……ですが、「都市伝説パズル」と比べ明らかに劣ります。というのは、序盤でデータを全てさらすというより、データの開示がちょこちょこと続き際限がないため、読んでいる側としては犯人なんか知るか、っとなってしまうわけです。犯人の行動もちょっと理解に苦しみます。全体的に悪い作品ではないと思いますが。


こうして見ると、作者が一作ごとにいろいろと趣向を変えているのが分かりますね。全体的に言えることですが、トリック・プロットを重視するあまり、登場人物の行動にちょいちょい無理があることが多い気がします。まぁでも、良作な短編集だとは思いますが。嫌いじゃないですね。

書 名:法月綸太郎の功績(2000~2002)
著 者:法月綸太郎
出版社:講談社
    講談社NOVELS ノB-09
出版年:2002.6.5 1刷
    2002.7.5 2刷

評価★★★★☆
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