モース警部、最大の事件
『モース警部、最大の事件』コリン・デクスター(ハヤカワ・ミステリ文庫)

こんな夜更けにケチな盗難事件の捜査とは。モース主任警部は顔をしかめた。ロンドンの安酒場で四百ポンドが忽然と消えたという。事件当夜は金回りの悪い常連客ばかりで、犯行の機会は全員にあった。さすがのモースにも、犯人の特定は絶望的に見えたが……『クリスマス・キャロル』を下敷きとした表題作をはじめ、パスティーシュやメタミステリなど11篇を収録。本格ミステリの第一人者が贈る、ヴァラエティに富んだ短篇集(本書あらすじより)


風邪をひくと、1冊くらいあっという間に終わってしまうもんですね。

再読。2007年に読んだときはポケミス版でしたので、「信頼できる警察」が初読です(なぜ文庫化する際に増やしたりするのだろうか)。読書録をちゃんと付け出したのは2008年からですからねぇ。2007年に結構読みまくったデクスターについては、ちょっとあいまいだったりします。

以前読んだ時も感じましたが、やはりデクスターの本領は長編かな、という気がします。短編では複雑なプロットにも限界があるし、むしろ詰め込みすぎて少々読みにくい気がします。が、前よりも全体的に面白かったですね。原因は、この3年間で短編のエグさに慣れたせいではないかと(笑)

なお、前と同じく、一番面白いのは当然「花婿は消えた?」です。

※以下、付記してあるもの以外は大庭忠男訳


「信頼できる警察 (As Good as Gold)」(1993)
警察官としての一線を越えてよいものか、はたまた時の人となりたいモースの心境はいかに?

文庫版のみ収録。ちょっと長めですが、むしろその方が読ませます。あの失敗は、全部モースがお膳立てしたんでしょう(彼が知らないわけがない)。モースとルイスの関係が良くて、結構この話は好きです。
案外ストレンジ警視は気付いているのでは?(いや、それはない)


「モース警部、最大の事件 (Morse's Greatest Mystery)」(1993)
あらすじは上部のあらすじの通り。

正直なところ、このわずか10ページの表題作が一番気に入らないんですよね……。なんか、らしくないというか。別に「クリスマス・キャロル」らしいとも思わないですし。


「エヴァンズ、初級ドイツ語を試みる (Evans Tries an O-Level)」(1977)
ドイツ語試験を受けようとする服役中のエヴァンズと、ぜってぇ何か企んでるなと警戒しまくる刑務所の方々。果たしてエヴァンズの狙いとは?

4転はしたんじゃないかと思わせるプロットです。いくらなんでも、企みの規模がデカすぎる気がしますが(ただの窃盗犯じゃないの?)。そこそこ好きなお話。


「ドードーは死んだ (Dead as a Dodo)」(1991)
ワイズという男がモースに語った奇妙な話。それを聞いてモースが導き出した驚愕の真相とは?

この話も結構好きです。ワイズがいくらなんでも気の毒すぎる気が(笑)現実には無理がありますよねぇ。


「世間の奴らは騙されやすい (At the Lulu-Bar Motel)」(1981)
賭けポーカーを舞台に繰り広げられる騙しあい。本当に勝つのは誰だ?

一番デクスターらしくない作品(訳者は中村保男さんですし)。実際にうまくいきそうな方法ではあります。ぶっちゃけ、登場人物が誰が誰だかよく分からなかったんですが(笑)ルーイスって結局重要人物なの?


「近所の見張り (Neighbourhood Watch)」(1993)
モースの隣人に起きた奇妙な自動車窃盗事件。犯人の行動を読んだモース警部だったが……。

何もこんなことする必要はないんじゃないかなぁと思わないでもないです。モースに勝ちたかっただけなのかなぁ。


「花婿は消えた? (A Case of Mis-Identity)」(1989)
コナン・ドイル「花婿失踪事件」の別解。

訳者は大村美根子。これは良いですね。元ネタを知っていれば面白さ倍増。マイクロフトの「盲目のうえに半分ぼけていると言わんばかりじゃないか!」のセリフは、この短編集でデクスターが言っちゃダメでしょう(笑)


「内幕の物語 (The Inside Story)」(1993)
ある女の死体と、彼女が書こうとしていたミステリー。その関係はいかに?

長編にしてもいいような、いかにもなモース警部作品でよろしいかと。ミステリーコンテストの審査員がジュリアン・シモンズとH・F・キーティングとは妙に豪華ですが、これって実話でしょうか。それから、作品ってそんな簡単に持ち出せるのでしょうか。


「モンティの拳銃 (Monty's Revolver)」(1992)
いい年の教授と若い秘書とその旦那。以上。

旦那は役者でした(笑)落とし所がぶっ飛びすぎていて面白いです。


「偽者 (The Carpet-Bagger)」(1993)
刑務所から脱走した男と、トラックを盗んだ男。警察はこのカラクリを見破れるか?

結局こいつは、周りをからかっているだけなんでしょうね。そこそこ面白いと思います。ワトスン刑事って、長編に出たことありましたっけ。


「最後の電話 (Last Call)」(1993)
ランドルフ・ホテルで心臓発作を起こした男と、2通の電話。一体誰が電話をかけたのか?(ほんとそれだけ)

どいつもこいつも役者だな!結局トリックは意味なかったわけですね。モースと若い女の将来に期待(笑)


書 名:モース警部、最大の事件(1977~1993)
著 者:コリン・デクスター
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 148-11
出版年:1999.12.15 初版

評価★★★★☆
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