『オックスフォード運河の殺人』コリン・デクスター(ハヤカワポケミス)

モース主任警部は不摂生がたたって入院生活を余儀なくされることになった。気晴らしに、彼はヴィクトリア朝時代の殺人事件を扱った研究書『オックスフォード運河の殺人』を手に取った。19世紀に一人旅の女性を殺した罪で二人の船員が死刑となったと書かれていたが、読み進むうちモースの頭にいくつもの疑問が浮かび……歴史ミステリの名作『時の娘』を髣髴させる設定で贈る、英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作(本書あらすじより)

デクスターは大好きなんですが、これだけはイマイチかも…と思いました。というのは、これは『時の娘』を作者が念頭に置いており、主人公モース警部が血を吐いて入院してきばらしに百年前の事件を推理する、という導入を取っているんですが、やっぱりモース警部にはルイス部長刑事と一緒に捜査をしてほしいです。本の中の話を推理するというせいで、モースのできることも制限されてしまうし、なによりどんでん返し・アクロバテッィクな推理がしんどくなっちゃうせいです。

一般に、この作品は評価がかなり高いんですが、その理由は緻密な論理にあるんでしょう。これはきちんとしたパズラーであり、謎解き・矛盾明かしです。『時の娘』は、確かに推理小説とは言え、本格ではないかもしれません。データがひたすら出てきて、それを整理するって感じだからです。そういう点では『オックスフォード運河の殺人』はデクスターの本領発揮作と言えなくもありません。

しかし、いくら「論理のアクロバット」がデクスターの持ち味だとしても、「論理」じゃだめなんですよ。アクロバットしないと。要はそういうことですね。基本、作品レベルは高いので、持ち味を出せなかったのが最大の弱点でしょうね。

書 名:オックスフォード運河の殺人
著 者:コリン・デクスター
出版社:早川書房
      ハヤカワポケットブック 1567
発 行:1991.4.30 初版

評価★★★☆☆
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