聖女が死んだ
『聖女が死んだ』キャサリン・エアード(ハヤカワ・ミステリ文庫)

シスター・ピーターの顔がさっと青ざめた。知らぬ間に指に血がついている。静かな修道院に大騒ぎが起って数時間後、シスター・アンの撲殺死体が地下室で見つかった。スローン警部は早速女の園に急行したが手掛りは見つからなかった。その夜、何者かの通報で警部は近くの農学校に出向いた。驚いたことに、学校は修道女姿の人形が燃やされ、しかも人形はシスター・アンの眼鏡をかけていたのだ。そして数日後、今度はたき火を行った学生の一人が惨殺された……平和な村を震撼させた連続殺人事件を結ぶ糸は? 女流本格派の記念すべき処女作!(本書あらすじより)


初エアード。キャサリン・エアードの処女作です。
うぅむ、何と言うか、うぅむ、。面白いのに、なんかいろいろ損をしてるなぁという印象。

事件自体は面白いですね。中盤に中だるみが起きないよう適度に事件を進展させながら話が進みます。関係ない目くらましのネタがちと多く詰め込み感もしますが、まぁ新人ってのはえてしてそういうもんですし、特に分かりにくさは感じません。

トリックに関しては文句なしですね。基本はホワイダニットでしょうか。第一の殺人、なぜ修道女が殺されたのか……これはそんなに大した謎ではなく、やや(かなり?)ホームズ的実はこうでした感があります。が、第一の殺人と第二の殺人の関係性、なぜまた死体が出たかに関しては、うぅむ、なるほどなぁと唸らされました。分かりやすいんですが、いい点を突いてますね。また第二の殺人により、トリックは分かったけど別に犯人誰でもいーじゃん、となることも防いでいます。


しかし読んでいてなぜか引き込まれない。地味~な作品が好きなTYなのにですよ。で、なぜかと言いますと、あまりこういう批判はしたくないんですが、訳がイマイチなのかなぁと。かなり直訳なきらいがあります。あ、これseemだ、とか、仮主語構文だ、とか分かってしまうくらい。高橋豊さんはクリスティも訳されており、それに関しては特に何も感じたことはないんですが……。

あとはキャラクターの問題でしょうか。修道女一人一人にあまり個性がないのは、まぁ仕方ないでしょう。作者はわざとそうしているわけだし、没個性的な修道女を個別化しようとするのが今回のスローン警部の仕事なわけですから。
が、スローン警部自身がまた中途半端かなぁ。最初はインテリ気味なキャラかと思ったんですが、だんだん修道女に感化されていったみたいで(笑)主人公の一警察官としてはどうかなーと。

というわけで、あと一押しといったところ。他の作品も見てみるべきでしょうかねぇ。

ちなみに第一の殺人、ミステリにしては珍しい、割合短い範囲の死亡時刻ですなぁ。もっとスローン警部は感謝しなきゃダメだよ(笑)


書 名:聖女が死んだ
著 者:キャサリン・エアード
出版社:早川書房
    ハヤカワ・ミステリ文庫 84-3
出版年:1983.5.31 1刷

評価★★★☆☆
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