『誰の死体?』ドロシー・L・セイヤーズ(創元推理文庫)

実直な建築家が住むフラットの浴室に、ある朝見知らぬ男の死体が出現した。場所柄男は素っ裸で、身につけているものといえば、金縁の鼻眼鏡と鎖のみ。いったいこれは誰の死体なのか?卓抜した謎の魅力とウィットに富む会話、そして、この一作が初登場となる貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿。クリスティと並ぶミステリの女王がモダンなセンスを駆使して贈る会心の長編第一作。(本書あらすじより)

あらすじにはありませんが、この死体発見の同じころ、シティの大物が失踪するという事件が起きています。読者はいやおうなしに同じ人物なんじゃないかと疑うんですが、そうは単純にはいきません。
ただ、「死体は誰なのか?」に重点を置く、いわゆるフーダニットの趣はまったくありません。セイヤーズの作品は、犯人探しが非常に大まかな感じなのが特徴で、それがまた大きな魅力だと思います。

ピーターの冗談、その従僕・バンターとピーターの掛け合い(バンターからの手紙には吹き出しました)、その母親の面白さ、友達のパーカー警部の人柄、などなど。魅力が多いのは確かです。登場人物すべてが個性的に描かれているんですね。バンターもいいんですが、やっぱりピーターの母親のキャラが一番いいですね。こういうタイプの登場人物は、読んでいて安心感があるのでうれしいです。

おもしろいことは確かですが、やや途中で飽きを感じました。やはり、処女作ということで、小説の書き方が不慣れなのかな、という印象です。クリスティだって初期の作品はイマイチなのも多かったし。プロットのわりには、中だるみがどうしても出ています。やはり文章力の問題でしょうね。

とはいっても、かなりベスト。このままセイヤーズ全部読破したいと思います。

書 名:誰の死体?
著 者:ドロシー・L・セイヤーズ
出版社:東京創元社
      創元推理文庫 Mセ-1-2
発 行:1993. 初版発行
     1993. ?版発行
 
評価★★★☆☆
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