銭形平次(1)平次屠蘇機嫌
『銭形平次捕物控(1)平次屠蘇機嫌』野村胡堂(嶋中文庫)

神田明神下に恋女房のお静と暮らす岡っ引き銭形平次が、ガラッ八こと八五郎を相棒に難事件を解決していく捕物帳。江戸の風物詩も織り込みながら人情味あふれる平次親分の活躍を描く。元日の昼下がり、平次と八五郎が入った料理屋は、「裏返し」の奇妙な料理屋だった……。表題作「平次屠蘇機嫌」など十編を収録。(本書あらすじより)

収録短編
買った遺書(1938)/平次屠蘇機嫌(1938)/蝉丸の香炉(1937)/人形の誘惑(1935)/辻斬綺談(1937)/花見の仇討(1937)/碁敵(1936)/お藤は解く(1936)/双生児の呪い(1935)/御落胤殺し(1935)

祖父母宅にあったので、読んでみました。映像版は何一つ見たことないですけど。

どーせ捕物じゃん、となめてかかったら、意外に探偵小説としてしっかり出来ているのにびっくりしました。作者はなかなかのトリックメーカーだと言わざるを得ません(暗号物まであるし)。作者自身の後書きにもありますが、器械トリックではなく、心理トリックに終始しようとする作者に共感。10短編、どれが特に良いというのもないですが、ハズレのない作品群でしょう。「花見の仇討」が一番良かったかなあ。

江戸時代を舞台に、人情味あふれ繰り広げられる捕物に目が離せませんでした。銭形平次は必ずしも犯人を逮捕はせず、見逃してやったり、真相をちょこっと変えてしまったりもします。そして何がいいかって、それを平次の上役、吟味与力筆頭の笹野新三郎が黙認してることなんですよ。なんか、古きよき時代を感じるじゃありませんか。

そして何より良かったのが、実は後書きです(笑)「随筆 銭形平次1・平次身の上話」というタイトルで野村胡堂自身が書いたもの。一種の探偵小説論ですが、なかなか味わい深いことを述べています(ミステリなら海外だとか、最近のミステリはいかんとか、ガボリオやホームズのころがいいとか、器械トリックなんかは廃れるもんで心理的なトリックこそ時代を越えて愛されるんだとか、シリーズ小説の主人公が老けていくのはバカげていてルパンを見りゃすぐ分かるとか、とにかく持論がキッチリしてます)。これだけでも読む価値あり。

まあ、17行と字もでかく、気軽な読物として悪くないでしょう。

書 名:銭形平次捕物控(1)平次屠蘇機嫌(1935~1938)
著 者:野村胡堂
出版社:嶋中出版
    嶋中文庫 の1-1
出版年:2004.5.20 1刷

評価★★★★☆
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