2009.06.26 『樽』
『樽』F・W・クロフツ(創元推理文庫)

ロンドンの波止場に到着した汽船の積荷の樽の中から金貨と人の手が現われた。ところが、捜査陣が到着する前に、件の樽は忽然と姿を消してしまったのだ!樽の行方を追って、ドーヴァー海峡を挟み、ロンドン警視庁とパリ警視庁による精力的な活動が開始される。本書はアリバイ捜査の醍醐味を満喫させるクロフツの処女作であり、アリバイものの原点ともなった路標的名作。(本書あらすじより)

この間読んだ『英仏海峡の謎』がまあまあだったので、彼の代表作を手にとって見ましたが…。

犯人は誰だってすぐわかります。なにしろ、容疑者はほぼ2人ですから。警察にフレンチ警部がいないせいか、どうもつまらなかったです。そもそも長すぎ、単調でした。ここまで引っ張る必要を感じません。

足を使った操作、というのを、僕が好まないんでしょうが、微妙、というのが本音です。犯人の使ったトリックに関しては、鮮やかなことこの上ないんですが。これが別の作家だったならなぁ、と思わずにはいられません。これ、デクスターあたりなら、うまく仕上げられそうなんだけどなぁ。

まず、警察の人たちが決定的に謎を解けない人たち、という描き方をしています。そりゃいいんですが、後から出てきた探偵が全部解いちゃうってのもどうなんでしょう?最初から80パーセントまでは主人公警察だってのに。
また、犯人は犯人で、よくもまぁこんなトリックを仕掛けようと思ったもんです。入り組みすぎてて、読んでいるこっちが混乱します。というか、話が長尺すぎて、まとまりがなさすぎるのかもしれません。

こういう作風がクロフツの醍醐味みたいですが、推理小説はあくまで物語である、ってのが持論です。キャラクターももちろん大事だし(アメリカのミステリは本当にキャラが立ってない)、なにより日記になっちゃだめだと思うんです。ただの好みなんですけどね。

書 名:樽
著 者:F・W・クロフツ
出版社:東京創元社
      創元推理文庫 Mヘ-2-1
発 行:1965. 初版発行
     2006.3.17 66版発行

評価★★☆☆☆
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