古い骨
『古い骨』アーロン・エルキンズ(ミステリアス・プレス)

レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼びよせた矢先に事故死した。数日後、館では第二次大戦中のものと思われる切断された人骨が見つかり、さらに親族の一人が毒で……。現在と過去の殺人を解き明かす、スケルトン探偵ギデオン・オリヴァー教授の本格的推理――アメリカ探偵作家クラブ最優秀長篇賞受賞の傑作。(本書あらすじより)

初エルキンズです。どれから読もうかな、とは考えていたんですが、とりあえず1887年出発・1988年MWA賞というこの作品から。
結論として言うと、非常に楽しめました。ここまで本格物としての推理小説を味わったのは、うん、数ヶ月ぶりです。よく出来た一冊ですね。地味っちゃ地味ですが、深まる謎をちょっとずつ答えを明かしながら解いていくロジックの展開にはなんか気持ちの良さがあります。なんかクリスティに似ているという印象を持ちました。
ま、冷静に考えると、全然物証ないんだけど。なんで犯人だけ一族会議の理由を知ってたかも謎だし。まあ、読んでる時は気にならなかったから許します(笑)


まず本格ミステリとして、非常に申し分ない出来だと思います。ちょっとずつ集まったデータが、最終的にきれいに「真相」としてまとまるのに、全く無理がありません。探偵役達の推理に、飛躍したとこが全然ないんですよね。被害者や犯人が、また往年の古きよきミステリというか。この地味さ(まぁ、最後の方、急にB級映画みたいになるけど)によって、安心してページをめくれます。グロ要素がないのも個人的にマル。

最初フランス名にちょっと苦労しましたが、すぐに頭に入りました。ベン・バッツとか、ジュールのような各キャラクターが十分に立っているというのも良かったですね。一種のキャラ物ミステリでもあるんじゃないですか?スケルトン探偵なんつー設定的においしすぎる主人公ギデオンと、ワトソン役(にしてはFBI捜査官としてでしゃばる)ジョンとのユーモアあふれる会話。ところどころ出てくるギデオンの奥さんのジュリーもまた会話が楽しいです。

トラベルミステリー的要素もあり、とにかくフランス料理がおいしそう。これは作者が意図してやたらと食事シーンを入れてるんでしょうが、すきっ腹で読める話じゃないですね(笑)

欲を言えば、ジョリ警部との別れの場面とか、後日談を、最後にちょっと入れて欲しかったです。いきなり帰国してるんだもん。

1988年は、こんな話でもMWA長編を取れたんだなぁと思うと、なんか嬉しいです(笑)クリスティ的な本格の味わいを1980年代にしてしっかり受け継いだ上質の一品。オススメです。

書 名:古い骨(1987)
著 者:アーロン・エルキンズ
出版社:早川書房
   ミステリアス・プレス文庫1
出版年:1989.1.15 初版
   1993.9.30 14版

評価★★★★☆
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