♪ある日 森の中 熊さんに であった
花咲く 森の道 熊さんに 出会った

♪熊さんの 言うことにゃ お嬢さん お逃げなさい
スタコラサッサッサのサ
(中略)
♪ところが 熊さんは あとから ついてくる
(中略)
♪お嬢さん お待ちなさい ちょっと 落とし物
白い貝殻の 小さなイヤリング

♪あら熊さん ありがとう お礼に 歌いましょう
ラララ……


さて。この曲が現実の出来事を歌っていると仮定して、可能な限り推論を広げます。


1、「熊さん」は「お嬢さん」と会話をしています。ここで「お嬢さん」とは人間ですから、それと会話している「熊さん」は''人間''だということになります。すなわち、熊田さんか熊八さんか熊倉さんか、あるいは熊さんか、とにかくそゆことです。


2、今時相手を「お嬢さん」と呼ぶのはどーゆー時か。年配の方、もしくは、「お嬢さん」がその近辺でそれなりに名家に生まれた場合です。


3、熊さんは、割と若い人だと推定できます。「お嬢さん」が「スタコラサッサッサ」とダッシュで逃げた後、イヤリングを広った上、楽々と追い付いているからです。


4、2と3より、熊さんはそれなりに若く、お嬢さんに対しやや下の地位にあります。


5、熊さんがお嬢さんに「お逃げなさい」と言ったのはなぜか。言うまでもなく、自分が食うからではありません。では……?通常、森の中で相手に「逃げな!」というのは……と考えると、もちろん、その場にいるのが危険だからに決まっています。例えば、そこは崖の近くなんだとか、脱獄犯が現れたとか、クマが現れたとか、要はそーゆーことです。


6、このうち、崖の近く、というのは除去出来ます。だったら「スタコラサッサッサ」逃げる必要がありません。


7、脱獄犯やクマの可能性もありません。この後「熊さん」がお嬢さんに追い付いた時、お嬢さんは「あら」と言っています。熊さんがやって来るのはカンペキに想定外だったのです。もし「熊さん」がクマと闘ったなら、その後「お嬢さん」を追いかけることに何の不思議もありません。おまけに、クマや脱獄犯と闘ったりしてたら、絶対お嬢さんに追いつけません。


8、以上より、お嬢さんはその場にいてはいけなかったが、必ずしも急を要する事態ではなかったと分かります。


9、次に、イヤリングに注目します。このイヤリングは「貝殻」で出来ています。お嬢さんが住んでいるのは、森が近くの村でしょう。貝殻のイヤリングをしているというのはかなり珍しいはず……というか、この近辺でお嬢さんしかイヤリングをしていないでしょう。


10、なぜイヤリングが落ちていたのか。イヤリングというのは、ちょっと走ったりしたくらいじゃ落ちたりしません。しかし自分でとったということもありません。ならば落としたりはしません。イヤリングが落ちるのはどーゆー時か?ミステリ的に考えれば、誰かと争ったり、揉み合ったりした時でしょう。


11、8より、揉み合った相手はすでに危険な存在ではないはずです。既にいないとは考えられないので、その人物は気絶、もしくは死んでいると考えられます。


12、なぜ熊さんはお嬢さんのためにイヤリングを持っておいかけたのか。
 (1)親切心から
 (2)イヤリングが落ちていてはまずかった


13、11より考察すると、(2)が妥当だと考えられます。人物を特定できる貝殻のイヤリングは立派な物的証拠となります。別に熊さんがポケットに入れてもいいかもしれませんが、もし熊さんがイヤリングを渡さないと、お嬢さんは片方しかイヤリングをしていないことになります。熊さんはそれを防ぎたかった……お嬢さんに疑いの目がいくのを防ぎたかったのです。


14、以上より、熊さんは、お嬢さんの犯した罪を隠そうとしていると分かります。


15、お嬢さんはイヤリングを受け取った後、なぜ歌ったんでしょうか。どこの世の中に、助けて貰ったお礼に歌う馬鹿がいますか。いや、実はお嬢さんはプロの歌手だったのかもしれません。しかし、それはないでしょう。お嬢さんの歌はこうです。

「ラララララララララ ラララララララララ」

歌詞もへったくれもありません。
ということで、この「歌いましょ」は単なる歌うこと以外を指していると考えられます。


16、ここで古語辞典を開きましょう。「うたう」には、「結婚する」という意味があることが分かります。「会う」→「たう」→「うたう」ということのようです。ここで注意したいのが、お嬢さんは熊さんより地位的に上だったことです。これは明治の歌だと思いますが、当時女性が男性に対し求婚することはありませんでした。しかし、この場合なら、結婚する意思を示せたのではないでしょうか。熊さんにしても、わざわざ死体を隠したり、証拠の隠滅をするなど、お嬢さんに対し並々ならぬ思い、おそらく恋心を持っていた、と考えられる節があります。


17、よって、「歌いましょ」とは結婚を示す言葉だったのです。


18、以上より、この歌は次のように解釈できます。

村の有力者の娘が、ある時一人で花咲く森の中へピクニックに出かけていた。
のんびりと散歩をしていたその時、暴漢が現れ、彼女を襲ったのだ。揉み合ううちに、彼女はとっさに持っていたてさげを相手にたたき付けた。
……気が付くと、目の前の男は動かなくなっていたのだ!

そこへ、彼女の家の使用人、熊五郎が現れた。彼は一目で状況を把握した。自分の敬愛するお嬢さんに、殺人の罪を着せるわけにはいかない……。

「お嬢さん、お逃げなさい。ここは私がなんとかします」

お嬢さんは感謝の眼差しを送ると、急いでその場を去った。
熊五郎は、死体をなんとかして隠そうと考えた。都合よく、少し先に崖があったはずだ。あそこに死体を放り込めば……。
ふと暴漢の手を見ると、あの貝殻のイヤリングが握りしめられていた。しまった……彼女のイヤリングは、村でも話題になっている。片方しか付けていないとなると、誰かが違和感に思うだろう。

熊五郎は急いでお嬢さんを追いかけた。

「お嬢さん、ちょっと待ってください!」

彼女がパッと振り返ると、そこには息を切らした熊五郎が、手を差し延べていた。
「あなたのイヤリングです。落ちていましたから」
ふと、彼女は自分の目に涙が浮かんでいることに気付いた。なぜ彼はこうまでしてくれるのか……。熊五郎の誠意あふれる行動は、若い娘の心を動かすには十分だった。

「熊さん、わたしと、結婚する気はないかしら?」

熊五郎は驚いて彼女を見つめた。そして気付いたのだ。そこにいるのは、到底手の届かない良家のお嬢様ではない。同じ人間として、愛することが許される相手なのだ、と。




とゆわけで、童謡迷推理でした(笑)


ちなみに……。「森のくまさん」というコシヒカリの品種がありますが、これは「森の都 熊本産のコメ」の略なんだとか(爆)
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