修道士の頭巾
『修道士の頭巾』エリス・ピーターズ(現代教養文庫)

シュルーズベリにおだやかな冬の日が戻ってきたある日、修道院の客人になった荘園主が毒殺された。料理に仕込まれたのは猛毒トリカブト――俗に言う“修道士の頭巾”を成分とする油薬でカドフェルが調合したものだった。男には実子がなく、しかも連れ子を持つ男の妻は若き日のカドフェルが愛したリチルディスだった。彼女の子にかかった疑いを晴らすためカドフェルは奔走する。(本書あらすじより)

『死体が多すぎる』を飛ばして第3作です。飛ばして読んだのに、大して理由はありません……借りられてたからです。
それはともかく、第1作『聖女の遺骨求む』と比べると、格段に面白くなっています。読んでて飽きさせることがないんですね。また、12世紀という空間に全く違和感なく溶け込める気がします。

ミステリとしての出来もまあまあなんですが、それよりむしろキリスト教的慈愛にあふれた探偵物、として読みたいですよね。単に犯人を捕まえるだけではなく、カドフェルがいかに犯人を扱うか?犯人は根っからの悪人なんかでは全然なく、それにいかなる罰を与えるか、が見所です。最終的に、誰もが笑顔でいられるような解決法を、カドフェルは見事に考え出すわけです。

また、個性的なキャラクターの面々が非常にいい。ヒュー・ベリンガー州執行副長官なんか、典型的ないい人ですが、こういう人こそいてほしいわけです。アイヴァ・アプ・モルガン長老もいい味出してます。ヘリバート院長、最後はやってくれました(笑)道徳的に素晴らしくも、最後修道士としての道に後悔を感じていなくもない、カドフェルの人間臭い様子にも惹かれます。

今回一番うまいと思った設定が、ヘリバート院長が不在になる歴史的背景です。前作の4ヶ月後に、よくもまあうまい条件があること。この不在が、最終的に犯人の動向の決め手となるわけですから、プロットをうまく使ったな、という感じです。

まあ派手さはなく、そんなに名作だとも思いませんし、そもそも昨今の強烈なミステリの中ではたいしたことないかもしれませんが、興味を持った方は手にとってみて損はないと思いますよ。

書 名:修道士の頭巾(1980)
著 者:エリス・ピーターズ
出版社:社会思想社
    現代教養文庫 3003
出版年:1991.5.30 1刷
    1993.5.15 2刷

評価★★★★☆
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