大誘拐
『大誘拐』天藤真(創元推理文庫)

三度目の刑務所生活で、スリ師戸並健次は思案に暮れた。しのぎ稼業から足を洗い社会復帰を果たすには元手が要る、そのためには―早い話が誘拐、身代金しかない。雑居房で知り合った秋葉正義、三宅平太を仲間に、準備万端調えて現地入り。片や標的に定められた柳川家の当主、お供を連れて持山を歩く。……時は満ちて、絶好の誘拐日和到来。三人組と柳川としの熱い日々が始まる!第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。 (本書あらすじより)

どこかのブログに、人生で一番面白かった本だとか書いてあったので、買ってみました。いやー、こういうエンターテイメント一色の本もいいもんですねぇ。スカッとした気分になれる一冊です。

キャラクター一人ひとりがなかなかいいです。当然主人公(?)のおばあちゃんが最高で、読んでいて非常に安心できる人物であるんですが、主人公の健次もなかなかどうしていいキャラをしています。犯人側の人物だという感じが全くなく、常識人・一般人としての魅力、仲間割れなんか絶対しないようなリーダーぶりが話全体にいい感じになっています。

とはいっても、やっぱり見どころは誘拐の方法・交渉手段・取引等々、手に汗握り、「そうか!」といってしまいそうな犯人(おばあちゃん)の考える見事なトリック。警察の見事な攻防戦。人質の家族の動向。等々、とにかくストーリーが半端なく面白いんですね。最初から一気に勢いを保って終盤まで読めてしまいます。気分転換には非常にちょうどいい一冊。

個人的におしいなぁ、と思うのは、最後の解決章でしょうか。内容には文句ないんですが、やや前半からのノリをそぎ落としてしまった感、という印象です。非常によく仕上がっている作品だけに、もったいないっちゃもったいないですね。

とはいっても名作には違いありません。未読の方は、ミステリファンとか関係なしにぜひ!

書 名:大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉
著 者:天藤真
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mて-1-9
出版年:2000.7.21 初版
     2001.4.13 6版

評価★★★★☆
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