007/ドクター・ノオ〔改訳版〕
『007/ドクター・ノオ〔改訳版〕』イアン・フレミング(ハヤカワ・ミステリ文庫)

紫紺の影が波のように通りを覆う黄昏。英国情報部カリブ海域地区の責任者は、本部に定期連絡を取るため静まり返ったジャマイカの高級住宅街を歩いていた。彼が道にうずくまる三人組の男のそばを通り過ぎたとき、突如、三挺消音銃が火を噴いた。数分後、今度は支局内で悲鳴が……Mの密命を帯び、ボンドは事態を探るためカリブ海に浮かぶ孤島へと飛んだ。だが、そこは恐るべき陰謀を企む怪人ノオ博士の根城だったのだ!(本書あらすじより)

積んでいるHM文庫改訳版007を読んでみようシリーズ第2弾(2年ぶり)。劇場版の007はスペクターしか観たことないのですが、原作は読んでいる、って、なんかかっこいいですよね(適当)。
ぶっちゃけ思ったより面白かったのでビックリしています。以前読んだ『ゴールドフィンガー』より確実に面白いかも。

さて、今回は『ドクター・ノオ』。これさえ読めば東郷隆の定吉七の1作目も読めるぞ。
ささいな事件の調査のためジャマイカに来た007ことジェイムズ・ボンド。ところがカリブ海では大いなる陰謀が進行していた。どうやら中国系黒人の間に何かがあるらしい。ボンドはノオ博士の支配する島に乗り込んでいくのですが……。

ところでイアン・フレミングのHM文庫改訳版をなぜ全冊まとめ買いして持っているのかと言うと、世界ミステリ全集のフレミングが入っている巻の座談会で、井上一夫だったかが「秘密道具が踊るおとぎ話みたいなスパイ小説を大人向けに本気で書いているフレミングは偉い」的なことを述べていて興味を覚えたからなんですよね。という視点のもと読み始めると、さっそく冒頭に盲人に扮する中国系黒人三人組の殺し屋が霊柩車に乗って現れます。さすがだぜフレミング。
話のメインはノオ博士のアジトである島への侵入になります。ノオ博士の目的とは? 博士の持つ火を吐くドラゴンとは?などなど。ノオ博士のアジトに入ってからの一連のシーンとかやばくないですか。怪人二十面相も真っ青なドSダンジョンとか。

まぁ人種差別的なところとかはもう色々限界だとは思いますが、それでも思ったよりジェイムズ・ボンドの冒険譚として楽しめました。島を支配して自分の王国を築く敵役ノオ博士が、程よく荒唐無稽で良いのです。
ジャマイカという舞台、暗躍する中国系黒人の集団、ノオ博士、試練、巨大イカ、などなど、むちゃくちゃだけど節度があります。なぜか分からないけど、ジェイムズ・ボンドが巨大イカと戦うのです。「うわあ! こいつは機関車のようき大きい!」じゃないんだよいい加減にしろ(褒めてる)。エロくないのに触手と戦う話を初めて見たよ……。
ボンドがかなり雑に2人の人間を見捨てたのもショックでしたが、ある人物が結構あっさり死んでしまうのもショックで、なかなかフレミングさんエグいっすねという感じ。あとヒロイン登場後いちゃつきまくるのかと思いきや、最後までそれどころじゃない状況が続くのも意外でした。古き良きスパイ映画は、やっぱりラストにヒロインと結ばれるのだなぁ(そう考えると、こないだ観た007はボンドがセックスしすぎだな……)。

というわけで総じて問題なく楽しめました。映画も観てみようかなぁ。
ちなみに一番びっくりしたのは、解説をみのもんたが書いていて、しかもそれが案外悪くないということでした。HM文庫の最初の解説は都筑道夫だったらしいです。

原 題:Dr. No(1958)
書 名:007/ドクター・ノオ〔改訳版〕
著 者:イアン・フレミング Ian Fleming
訳 者:井上一夫
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ文庫 224-5
出版年:1998.10.31 1刷

評価★★★★☆
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://yossiworld.blog72.fc2.com/tb.php/1347-66214b3e