新生の街
『新生の街』S・J・ローザン(創元推理文庫)

新進デザイナーの春物コレクションのスケッチが盗まれた。5万ドルの“身の代金”の要求に、受渡しの仕事を持ち込まれた探偵リディアは、相棒ビルと指定の場所に赴くが、不意の銃撃をへて金は消えた。汚名返上のため、2人がファッション界に真相を探ると……? 名コンビが早春の街を駆ける、等身大の探偵物語。待望の第3弾!(本書あらすじより)

今月末のローザン読書会に向けて、約2年ぶりのローザンです。今回はリディア・チン視点の作品です。
ローザンの書く私立探偵小説って基本的にかなり好きなんですが、ぶっちゃけるとリディア・チンよりもビル・スミス物の方が良いよなぁとこれまで思っていました。ほぼ全作読んだうちの親が言っていたというのもありますし、過去に読んだ『苦い祝宴』が「まぁそれなりに面白い」くらいの感想だったからというのもあります。短編もビル・スミスの方が圧倒的に良いし。っていうか『冬そして夜』がド傑作だし。
……いやほんとすみません、リディア・チン舐めてました。ビル・スミスの方が圧倒的に面白い、なんてことは全くありませんでした。くっそぅ良いじゃないかこれ。

今回はファッション業界が舞台。盗まれたデザインの取引のためにリディアが雇われるのですが、不意の出来事により取引は失敗してしまいます。さらに不可解な殺人が発生し、それを調べていく中でリディアとビルはファッション業界の裏で動く陰謀を暴きだしていくのですが……。

込み入った事件の果てに浮かび上がる真相は、私立探偵小説としてはある意味定番のものです。しかしながらそのはめ込み方と生かし方、舞台設定と探偵のキャラ設定、さらに解決に至るまでの小規模事件の連発によって、非常に安定感のある、上質な作品になっています。かなりのテンポで事件が続発し、おまけに事件の全体像が見えてこないので、大いに読ませるるのです。うーんこれはいいものだ。
『苦い祝宴』の時より圧倒的に楽しめたのですが、これは高校生の頃と違ってハードボイルドを楽しめるようになったからなのか、それとも事件の内容がより好みに近いからなのか……(両方かも)。どちらにせよ、(こんなこと言うとアレだけど)リディア・チン・シリーズは個人的に女性探偵物の中でも抜群に取っ付きやすいのです。

というわけで久々でしたがやはり良いシリーズでした。このままあと1冊読みます。

原 題:Mandarin Plaid(1996)
書 名:新生の街
著 者:S・J・ローザン S. J. Rozan
訳 者:直良和美
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mロ-3-3
出版年:2000.04.21 初版

評価★★★★☆
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