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『亡国のイージス』福井晴敏(講談社文庫)

在日米軍基地で発生した未曾有の惨事。最新のシステム護衛艦《いそかぜ》は、真相をめぐる国家間の策謀にまきこまれ暴走を始める。交わるはずのない男たちの人生が交錯し、ついに守るべき国の形を見失った《楯(イージス)》が、日本にもたらす恐怖とは。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞した長編海洋冒険小説の傑作。(本書上巻あらすじより)

月イチ国内ミステリ、今回は元サークルの先輩に猛烈にオススメされた作品です。上下巻です。しかも自衛隊ものですってよ。なにそれしんどそう。
と思って読み始めたら、ただのガチの海洋冒険小説であり、要するにダイ・ハードなアクション大作でした。面白くないわけがなかった……いやー、日本の冒険小説ってすごいのね。

在日米軍基地にあった化学兵器が北朝鮮のテロリスト(北朝鮮政府とは無関係)に強奪され、日本政府とテロリストの間では緊張状態が続いていた。一方、海上自衛隊の護衛艦《いそかぜ》ではとある陰謀が進行しており、ついに乗っ取られた《いそかぜ》と日本政府の間での戦いが始まってしまう、というお話。

最初はちょっと右っぽいのかなと思いましたが、最後まで読んだらそんなことはなかったです。
展開だけ抜き出せばベタ中のベタなバディ物の激アツアクション。外部の助けが得られない中で、《いそかぜ》をテロリストから守ろうと2人の男が戦い抜きます。そこに新兵器やら北朝鮮やら自衛隊やら各種要素を盛り込み激アツストーリーを組み立てたあげく、激アツキャラクターに激アツな場面で激アツな矜持を語らせるわけです。最高かよ。
かなりの端役に至るまで数ページだけでも視点人物にしているのが上手いんだよなぁ。場面転換が非常にスムーズかつ情報提示が的確で適度に読者を焦らし、なおかつたった数ページだけでその人物の弱さと強さをしっかり見せるのがめちゃくちゃ上手いです。大量の登場人物を読者に混乱させることなく配置し動かせているのは、ひとりひとりのキャラクターをきちんと示せているからでしょう。本格的にダイ・ハードが始まるまでが結構長いんですが、これも必要十分だから仕方ないかなと。ひとりひとりのバックグラウンドやキャラクターを見せるのが絶対不可欠な小説ですし。

あと、いつも自分が冒険小説に求める最低条件、「無能な人物による窮地を作らない」を華麗にクリアしていたのですがそりゃもう当然です。死力を尽くして戦う男たちの中にヌケサクがいては困るのです。日本が大ピンチになるのも、あくまで組織の構造上の問題が原因であって、決して個人のせいではないというのが良いですね。

というわけで、いやーやっぱり冒険小説は当たればめちゃくちゃ楽しいのでした。今度は真保裕一の『ホワイトアウト』でも読もうかなぁ。絶対面白そう。

書 名:亡国のイージス(1999)
著 者:福井晴敏
出版社:講談社
     講談社文庫 ふ-59-2、3
出版年:上巻 2002.07.15 1刷
         2002.12.05 4刷
     下巻 2002.07.15 1刷
         2005.05.18 21刷

評価★★★★☆
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