生か、死か
『生か、死か』マイケル・ロボサム(ハヤカワ・ミステリ)

四名が死亡した現金輸送車襲撃事件の共犯として十年の刑に服していたオーディ・パーマー。奪われた七百万ドルの行方を知るとされる彼は、服役中どれほど脅されても金の在処を吐くことはなかった。時は経ち、出所日前夜。オーディは突如脱獄を果たす。もう一日待てば、自由も金もすべてが手に入ったはずなのに……。彼の決断の裏には恐るべき陰謀と悲劇が――スティーヴン・キングが絶賛した著者の代表作! 英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞&アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞最終候補。(本書あらすじより)

あと一か月ほどはひたすら新刊を読むことになりそうです。今年は結構いいペース。
さて、昨年のCWAゴールド・ダガー賞です。舞台はアメリカだしキング絶賛だしストーリーまでアメリカっぽいのに、作者はオーストラリア出身という。

とにかくオーソドックスなエンタメ小説です。主人公オーディ・パーマーが出所日より一日早く脱獄した謎だとか、彼が関わった(とされる)現金輸送車強盗の隠された真実だとか、過去の甘酸っぱいラブロマンスだとか、全てベタっちゃベタに進行していきます。現在と過去のカットバックのやり方なんかは手慣れているなぁという感じ。途中の非情な展開などはいかにも21世紀だぜぇという感じですが、そこはキング絶賛のクライム・サスペンス(そういえばショーシャンクっぽいと言えなくもない)、ラストには見事な大団円が待ち受けている、というわけです。

で、意外というか当然というか、これがとにかく面白いのです。語りも良ければキャラも魅力的。オーディ・パーマー(この主人公名、すごく主人公っぽい)が、それこそ死に物狂いで「死」から逃げ「生」を求める理由こそが、この小説の基軸となるのですが、そのカッコよさと傷ついたヒーローっぷりがたまりません。
あと、最後あのキャラクターが生き残るのが、めっちゃ意外だったんですよね。非情なストーリーのようで、案外作者がハッピーエンド好きなのではないか、と推測。

個人的にはもうちょっと型破りであったり突き抜けていたりする方が好みなのですが、でも期待以上に楽しめました。若干あちこちに手を広げすぎた嫌いはあるけど、70点は確実に約束できるタイプの作品です。同訳者の『解錠師』がお好きな方なんかはぜひ。著者のデビュー作『容疑者』も探してみようかな。


原 題:Life or Death(2014)
書 名:生か、死か
著 者:マイケル・ロボサム Michael Robotham
訳 者:越前敏弥
出版社:早川書房
     ハヤカワ・ミステリ 1911
出版年:2016.09.15 1刷

評価★★★★☆
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