高慢と偏見 上 高慢と偏見 下
『高慢と偏見』ジェイン・オースティン(光文社古典新訳文庫)

溌剌とした知性を持つエリザベスと温和な姉ジェインは、近所に越してきた裕福で朗らかな青年紳士ビングリーとその友人ダーシーと知り合いになる。エリザベスは、ダーシーの高慢な態度に反感を抱き、彼が幼なじみにひどい仕打ちをしたと聞き及び、彼への嫌悪感を募らせるが……。(上巻あらすじより)

映画『高慢と偏見とゾンビ』が面白そうですねー。原作が翻訳された時にも大いに話題になっていましたが、そもそも『高慢と偏見』すら読んでいない自分は完璧にその波に乗り遅れていました。
というわけでようやく読んでみましたよ、この古典的エンタメ作品を。19世紀なのは知っていましたが、ヴィクトリア朝より前だったんですね。出版されたのが1813年、最初にオースティンが書いたのは1796~1797年ということなので、フランス革命やらナポレオンやらでヨーロッパが非常にゴタゴタしていた、まさに貴族の尊厳が脅かされていた時期なわけですが、それを感じさせない、お気楽な地主階級の社会における恋の騒動が描かれています。前半が主に「高慢」の話、ダーシーから手紙をもらった後からが「偏見」の話、と考えるとすっきりするのかな(適当)。

いやとにかく、恋愛小説のスタンダードって200年間変わらないんだなってつくづく感じました。ほんとにもう期待を裏切らない展開が続いていてすごいのです。キャラクターからフラグの立て方まで全部イメージ通り。
例えばここに、理知的理性的で当時の女性としてはかなりはっきりと物を言い、けどあまり恋愛とは縁のない主人公の女性がいます。そしてそこに、超金持ちなんだけど、高慢ちきでずけずけと物を言う鼻持ちならないイケメンが現れます。イケメンは初めて主人公に会ったパーティで、本人が聞こえるところで、「あんなブスと踊るわけねーだろ」と言います。主人公はこのセリフを機にイケメンを全力で嫌うようになります。ところがイケメンはこのはっきりとした態度をとる主人公に次第に好感を持つようになります。しかし同じ地主階級とはいえ、AクラスのイケメンとBかCクラスの主人公は、ちょっとした身分差もあるのです。

……すごいよ! めっちゃベタだよ! 無数の恋愛小説とか少女漫画とかラブコメとかで見たよ! 
そしてこれがビックリするほど面白いのです。上巻なんて何にも起きないくらいなんだけど、しかし皮肉とユーモアたっぷりの辛辣な文章や、約束された結末に向けて進む安定の展開から目が離せず、こりゃ誰が読んでも面白かろうという作品。お堅いどころか、むしろ当時の上流階級をちょっと斜に構えて笑い飛ばすかのような語りが最高です。タイトルから勝手に高尚なイメージを持っていたけど、全然違うじゃんと。そりゃ二次創作も出るよと。『高慢と偏見、そして殺人』とか『高慢と偏見とゾンビ』が書かれるよと。

ちなみになんですが、三女メアリ(引きこもりで非社交的で知識ひけらかしな読書好き)は五姉妹の中で最も登場しない上に、末の妹二人と合わせてバカ扱いされているんですが、メアリを主人公にした二次創作本が絶対にあると思います。本好きはみんなメアリが好き、間違いない。

というわけで、19世紀の英国文学ってやっぱ面白いですねー。古典クラスも毎年ちょっとずつ読み進めたいです。

原 題:Pride and Prejudice(1813)
書 名:高慢と偏見
著 者:ジェイン・オースティン Jane Austen
訳 者:小尾芙佐
出版社:光文社
     光文社古典新訳文庫 KAオ-1-1,2
出版年:2011.11.20 初版(上下巻同じ)

評価★★★★☆
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