古城ゲーム
『古城ゲーム』ウルズラ・ポツナンスキ(創元推理文庫)

医学生のバスチアンは、騎士や魔女になりきり14世紀の暮らしを疑似体験するゲームに参加するため、深い森に到着した。そこでは懐中電灯や消毒薬などゲームの時代になかった物の持ち込みが禁止されている。だが参加者が次々に謎の失踪を遂げ、主催者の携帯電話も紛失し外部と通信不能に。さらに閉じこめられた洞(ほら)で大量の白骨死体を発見。想定外の出来事が彼らの心を蝕(むしば)んでいく。(本書あらすじより)


『古城ゲーム』、なんで発売前ほど発売後に話題になっていないのか不思議なほどストーリーが本格好みだし、今のところ最高に楽しい。

と、読み始めた直後にツイートしていたのですが、終盤すごい勢いで失速していった作品でした。なるほどなぁ……いまいち話題にならないわけだ……。

前半300ページは、中世大好きサークルの面々が、誰も来ない深い森の奥で文明の利器を一切持たずに中世ロールプレイングゲームをしていたら次々と仲間が消えていき、メッセージの書かれた板が仲間が消えた場所に置かれ、いなくなった人数分の墓穴が掘り返され、次々と不可解な出来事が相次ぎ、これはこの地に伝わる呪いか?!と呪いに怯え右往左往するという、大変アツい展開です。外界との連絡手段も断たれ、目指すは『そして誰もいなくなった』。これは面白い、そう確信していましたそう前半は。

ところが地下に閉じ込められたあたりから雲行きがおかしくなります。伝説と祟りの話を引っ張りまくり、さぁ幽霊に死体を捧げよう、レッツ人身御供!みたいな仲間割れが始まった頃から、『そし誰』というよりパニック物になります。まぁそれはいいんです。ちょっとしたどんでん返しというか意外な展開もあるし、それなりに楽しめましたよ一応。
ただ、先の展開というかオチまでがあまりに見え見えで、こちとら血みどろの連続殺人事件を期待していた本格ミステリ好きには物足りないのです。青春小説というか学生がわちゃわちゃする話としても、最終的にややヌルい話に終わる、というあたりがなんとも竜頭蛇尾。エピローグが30ページって斬新だね……。

話の作り方や謎の提示は決して悪くありませんし、ぞろぞろ出てくる16人くらいの学生を結構しっかり区別して描き読者に混乱させないなど筆力もある方だとは思いますが、やはり終盤の盛り上がらなさが残念。せめてあと100……いや200ページは削ってもいいんじゃないかな……。

原 題:Saeculum(2011)
書 名:古城ゲーム
著 者:ウルズラ・ポツナンスキ Ursula Poznanski
訳 者:酒寄進一
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mホ-11-1
出版年:2016.04.28 初版

評価★★★☆☆
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