古書贋作師
『古書贋作師』ブラッドフォード・モロー(創元推理文庫)

後頭部を殴打され、両手首を切断された状態で発見されたその男は、コナン・ドイルなど著名作家の直筆を偽造する贋作師だった。彼の妹と交際しているわたしも、かつて名を馳せた贋作師。だが逮捕されたことを契機に足を洗い、今は古書オークションハウスで働いている。文豪の筆跡で書かれた、謎の脅迫状に怯えながら……。異様な語りで稀覯本の世界へ読者を誘う、異色のミステリ。(本書あらすじより)

ううん、かなり期待していたんですが。今年はビブリオとか美術系ミステリの新刊が多いのに、なかなか自分と合わない気がする……。
ふわふわしているというか、『赤い右手』的な異臭があるというか、とにかく落ち着かない個性的な作品です。読んでいる途中あたりは『赤い右手』の語り力を得たアガサ・クリスティーの異色作、みたいな印象でした(読み終わってみるとそんな大したものではなかった)。正直言って作者のやりたいことが最後までよく分からないのです。読者をどこに感心させて読ませたいのかな、とか。

古書贋作師が殺される。その妹と付き合っている主人公も、元古書贋作師。過去と脅迫者に怯える主人公は、今日もこっそり贋作に励むのであった(え)。

終始、胡散臭い主人公の一人称で語られます。登場人物にはロクなやつがおらず、殺された古書贋作師の正体と主人公への脅迫を中心に物語は一応動いているのですが、とにかく話にまとまりがなく、語り口も独特です。
語り口が魅力的と言えばそうなのですが、ただ結構ぐっだぐだだし、事件の片付け方が「え、それだけの話だったの?」という感じだし、最後のサプライズも作者が全然隠す気がなかったせいで意外性ゼロだし、そもそも主人公に感情移入できなすぎて何一つ終盤で思うところがありません。これはなに、どういう気持ちで読了すればいいんだ俺は。

語りやウンチク、ドイルネタなどは楽しめましたが、結局のところスカスカしたミステリだったという感が否めません。端的に言えば面白くないのです。あらすじ倒れかなぁ、記憶に残りにくい作品でした。

原 題:The Forgers(2014)
書 名:古書贋作師
著 者:ブラッドフォード・モロー Bradford Morrow
訳 者:谷泰子
出版社:東京創元社
     創元推理文庫 Mモ-7-1
出版年:2016.06.24 初版

評価★★☆☆☆
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